2010 Fiscal Year Annual Research Report
配位高分子錯体においてゲスト分子集団が示す協同現象の解明と機能性材料への展開
Project/Area Number |
21350012
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
上田 貴洋 東洋大学, 理工学部, 教授 (70294155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川路 均 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 准教授 (10214644)
石丸 臣一 東京電機大学, 工学部, 教授 (10251034)
宮久保 圭祐 大阪大学, 総合学術博物館, 准教授 (70263340)
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Keywords | 表面・界面物性 / 複合材料・物性 / 固体物性 / ナノ材料 / 吸着 |
Research Abstract |
昨年度、大量合成したIRMOF-1を用い、ゲスト分子としてベンゼンおよびシクロヘキサンについて精密熱容量測定を行い、各ゲスト分子のIRMOF-1細孔内での相転移挙動を明らかにした。また、固体NMR測定(スピン-格子緩和時間)によって、IRMOF-1細孔中でのゲスト分子の動的挙動が明らかとなった。このように、ゲスト分子を吸蔵したIRMOF-1の微視的ならびに巨視的性質が明らかとなってきたことをうけ、両者の間の関係をより詳細に議論すべく、当初の研究計画にはなかった分子動力学(MD)計算を用いてゲスト分子の動的挙動と局所構造のより詳細な検証を行った。その結果、ゲスト分子として細孔内部に取り込まれたベンゼンは、室温付近で液体のように拡散運動を行うが、ある温度より低温ではIRMOF-1細孔内に局在化するという実験結果を再現することができ、ゲスト分子がIRMOF-1格子内で擬似液体として振舞うことが明らかとなった。 また、イオン伝導材料への展開を視野に入れ、IRMOF-1細孔内にLi^+イオンを導入する目的でLiCl、Li_2CO_3、LiNO_3の各アセトン溶液中にゲストフリーのIRMOF-1を浸漬したところ、LiClのみが細孔中に取り込まれたことが分かった。そこでペレット成形したLiCl導入IRMOF-1粉末の複素インピーダンス測定を行なった。その結果、ゲストフリーのIRMOF-1とは若干異なる挙動が観測されたが、装置の信頼できる測定限界を超えるインピーダンスを示しており、伝導率の見積りには至らなかった。
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Research Products
(13 results)