2009 Fiscal Year Annual Research Report
ニッケルナノ合金におけるナノフラストレーション相発現
Project/Area Number |
21350031
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山内 美穂 Hokkaido University, 触媒化学研究センター, 准教授 (10372749)
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Keywords | コバルト / ナノ粒子 / 多価アルコール法 / TEM観察 / 粉末X線回折 / 放射光 |
Research Abstract |
直径100nm以下の金属の粒子(金属ナノ粒子)はバルクとは異なるエネルギー状態にあり、通常では存在しない構造を常温常圧でとることがある。これは、サイズ減少により増大した表面エネルギーによる系の不安定化と電子状態・構造の安定性とのバランスの変化により、バルク状態にはない平衡状態が実現されるためである。本申請研究では、ナノメートルサイズの金属が持つ大きな構造の自由度に着目し、ナノ界面における新規フラストレーション相(ナノフラストレーション界面)の創出を目的とする。 本年度は室温の安定構造としてhcp構造を取るCoナノ粒子の作製を行った。磁性ナノ粒子の合成は、通常、高沸点の多価アルコールを溶媒および還元剤として行う為、数十ナノメートルの大きな粒子しか得られない。本研究では、多価アルコールを溶媒とし、比較的強い還元剤であるNaBH_4を還元剤として用いることで、十ナノメートル程度の粒子を得たいと考えた。保護被覆剤であるPVPをモノマー換算で原料金属イオンの40~100等量、還元時間は0.5~20分の条件で合成を行った。得られた試料のTEM観察を行った。 得られたナノ粒子のTEM観察の結果、多価アルコール法にNaBH_4還元を併用した場合は、直径10nm程度の小さい粒子が得られることがわかった。還元温度を変化させても粒子サイズに大きな違いはみられなかった。放射光を用いた粉末XRD解析の結果、得られたナノ粒子は明確なパターンを示さなかった。これは、合成時の加熱時間が短いため、粒子内部は単結晶にはなっていないことを示している。200℃で加熱処理したサンプルは、いくつかの結晶構造からの回折がみられた。この結果より、本研究では、比較的粒径が小さいCoナノ粒子がえられたことが明らかになった。現在、詳細な結晶構造解析を行っている。
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