Research Abstract |
モリブデン,タングステン安定同位体比 (1)海水中モリブデン同位体比.太平洋,南極海,大西洋から得られた170以上の海水試料を分析し,モリブデン同位体比が世界海洋で均一であること,したがって海水はモリブデン同位体比の標準物質となりうることを論文発表した(Nakagawa et al.in press). (2)堆積物中モリブデン,タングステン同位体比.8-キノリノール樹脂を用いる堆積物中モリブデン,タングステンの分離法の最適化を行った.従来,溶離にはアンモニア溶液を用いていたが,タングステンの回収率に問題があった.溶離液にフッ化水素酸を用いることで,タングステンの定量的な回収を可能にした.また,溶離液に混入する有機物が同位体比測定の精確さを低下させることを見出した.その対策のため,8-キノリノール樹脂の洗浄および有機物の湿式灰化を検討した.あと少しで分析法の最適化を完了できる見込みである.その後,日本海岩内沖堆積物コアのモリブデン,タングステン同位体比の測定を行い,日本海の過去7万年の環境変動を考察する. 海水中銅安定同位体比 エチレンジアミン三酢酸基キレート樹脂を用いる固相抽出と陰イオン交換により,海水中溶存態銅を選択的・定量的に濃縮し,MC-ICP-MSにより銅安定同位体比を精密測定する方法を確立した.本法は従来法に比べて簡便かつ高精度である.現在,論文執筆を進めている.また,本法を用いて,太平洋および日本海の銅安定同位体比の分布を調べた.今後,さらにデータを集めて,銅の海洋循環を考察する. 日本近海における海洋観測 平成23年7月から8月に行われた白鳳丸KH-11-7航海に参加し,海水試料を採取した.
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