2009 Fiscal Year Annual Research Report
光応答性タンパク質およびペプチドの創製と構造機能制御
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21350095
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
廣田 俊 Nara Institute of Science and Technology, 物質創成科学研究科, 教授 (90283457)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長尾 聡 奈良先端科学技術大学院大学, 物質成科学研究科, 助教 (30452535)
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Keywords | 光応答性 / タンパク質 / ペプチド / 金属錯体 / タンパク質構造機能相関 / タンパク質機能制御 / ペプチド質機能制御 |
Research Abstract |
タンパク質、ペプチドなどの構造を高い空間分解能と時間分解能で制御できれば、様々な利用法があり、特に、生体内計測分析や医療への利用が期待できる。そこで本研究では、光応答性タンパク質やペプチドを作製し、これらの生体分子の構造を制御するとともに、分子間の相互作用を光制御する。 生体分子間相互作用の光制御の一例として、ホスファチジルイノシトール3-キナーゼに結合するRLP1ペプチドの両末端にCysを導入した直鎖状ペプチド(linear-1 ; AcC-RKLPPRPSK-C)を用い光解離性修飾基により架橋した光解離性環状ペプチド(cyclic-1)を合成し、タンパク質-ペプチド相互作用の光制御を検討した。また、光照射によって金属イオンを「捕捉・脱離」できるシステムの構築を目指し、[Cu^<II>(trans-L)]/C_6-Au, [Cu^<II>(cis-L)]/C_6-Auをそれぞれ作製した。トランス体とシス体のいずれの場合も、サイクリックボルタモグラムはCu^<I/II>に由来する一対の酸化還元応答のみを示し、これらの酸化還元応答は掃引を繰り返すことで徐々に減少した。配位子がトランス体の場合、70回目の掃引時にはピークがほぼ完全に消失した。このピーク強度の減少はCuイオンが表面上の配位子から解離したことを意味している。一方、シス体の場合では70回目の掃引時には強度は減少したが、明確な酸化還元応答を示した。修飾に用いたcis-H_4L溶液はtrans-H_4Lも含んでいるため、[Cu^<II>(cis-L)]】/C_6-Au上にはcis-Lとtrans-Lの両方が修飾されている可能性が高く、cis-Lはtrans-Lよりも強くCuイオンと結合していることが示された。70回掃引後の[Cu^<II>(cis-L)]/C_6-Auに可視光を照射したところ、酸化還元ピークの強度が減少した。以上より、光照射によってCuイオンの結合を光制御できる可能性が示された。
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