2009 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ヘムタンパク質モデルによる二原子分子の捕捉とその医薬品化学への応用
Project/Area Number |
21350097
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加納 航治 Doshisha University, 理工学部, 教授 (60038031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根木 滋 同志社女子大学, 薬学部, 助教 (50378866)
川口 章 東海大学, 医学部, 准教授 (30195052)
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Keywords | 酸素付加体 / 鉄ポルフィリン / 人工酸素運搬体 / 超分子錯体 / 高分子化 / 酸素親和性 / 金ナノ粒子 / PEG化 |
Research Abstract |
我々はこれまでに鉄(II)ポルフィリン(Fe(II)TPPS)をシクロデキストリンダイマーで包接したhemoCDが水中においても安定な酸素付加体を形成し、ヘモグロビン代替物質として使えるということを主張してきた。しかし、ラットの静脈に注入されたhemoCDは比較的速やかに尿中に排泄されてしまう。そこで2009年度はhemoCDを高分子化することを試みた。まずポリアクリル酸にアミド結合でhemoCDを化学結合させその酸素錯体につき検討した。hemoCDと同様に高分子化hemoCDも酸素および一酸化炭素を結合する。しかし、酸素錯体の安定性はかなり低下することが分かった。おしらく、高分子化することにより、hemoCD周りの水の構造が変化したためと思われる。次に、金ナノ粒子にhemoCDを化学結合させる試みを実施した。チオール基を側鎖に持つhemoCDを合成し、それを金ナノ粒子に化学結合させた。同時に生体適合性を向上させるためにPEGも結合させた。hemoCD金ナノ粒子も酸素および一酸化炭素を捕捉するが、酸素付加体の安定性は著しく低下した。その理由は分からない。この金ナノ粒子をラットに静注すると、hemoCDは全く尿中には排泄されなくなった。今後は金ナノ粒子の粒径と血液からのもれについてさらに詳細な研究が必要と思われる。さらに、PEG化したhemoCDについても検討した。PEG化hemoCDはhemoCD単独とほぼ同じ挙動をしめし、酸素親和性は逆にhemoCDよりも高くなった。
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