2010 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ヘムタンパク質モデルによる二原子分子の捕捉とその医薬品化学への応用
Project/Area Number |
21350097
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
加納 航治 同志社大学, 理工学部, 教授 (60038031)
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Keywords | ポリアクリル酸 / 機能性高分子 / 酸素付加体 / 鉄ポルフィリン / 超分子錯体 / 人工血液 / 金ナノ粒子 / 自己触媒的酸化反応 |
Research Abstract |
我々が開発したhemoCDは水溶性鉄(II)ポルフィリン(Fe(II)TPPS)とPy3CDと略しているシクロテキストリン二量体との1:1包接錯体である。hemoCDは水中で酸素や一酸化炭素を捕捉するという著しい特徴を有しているため、人工血液としての応用が期待される。同時に一酸化炭素中毒解毒剤としての利用も極めて有望な応用法である。しかし、hemoCDは分子サイズが小さいために腎臓の糸球体でろ過されてしまうという性質がある。この性質はCO解毒剤としては優れた特長となるが、人工血液としての利用からすると大きな欠点となる。そこで、今年度はhemoCDをポリアクリル酸(PAA)に縮合させて、糸球体ろ過されにくい機能性高分子の合成とその機能評価を行った。その結果、PAAに結合させたhemoCDは糸球体ろ過されにくいことが明らかになったが、同時に、高分子鎖にhemoCDが濃縮されるために、hemoCD酸素付加体の自己触媒的自動酸化が進行し、hemoCDをmet体へと不活性化することも分かった。この自動酸化はカタラーゼで抑制できることも明らかにした。一方、hemoCDを金ナノ粒子化する研究も実施した。チオール化された、ポリエチレングリコール(PEG)および鉄ポルフィリンを合成し、これらを金ナノ粒子に結合させたのちに酸素付加体を生成させた。期待通りに金ナノ粒子は酸素を捕捉し、糸球体ろ過は完全に阻止されたが、この金ナノ粒子は血中に留まるよりも、肝臓や脾臓等の臓器に蓄積されることが明らかになった。
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