2009 Fiscal Year Annual Research Report
合理的な分子設計に基づいた高効率色素増感太陽電池の創製
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21350100
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
今堀 博 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 教授 (90243261)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅山 有和 京都大学, 工学研究科, 助教 (30378806)
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Keywords | ルテニウム錯体 / 色素増感太陽電池 / アンカー基 / 酸化チタン / ホスホール / オリゴチオフェン / 雷子移動 / 二座配位 |
Research Abstract |
近年、ルテニウム錯体にかわる、より安価で性能の高い有機色素を用いた色素増感太腸電池の研究が盛んである。これまでの研究から、有機色素と酸化チタンとの結合部位であるアンカー基は、色素から酸化チタン伝導帯への電子移動効率に大きく寄与することが知られており、その最適化が必要とされている。そこで本研究では、新規アンカー基として1-オキソ-1-ヒドロキシジチエノボスホールを有するオリゴチオフェン(TP)を合成した。TPのテトラヒドロフラン溶液中での吸収スペクトルは300-500nmにかけてオリゴチオフェン由来の吸収を示した。また、TPを修飾した酸化チタン表面におけるX線光電子分光、赤外吸収測定の結果から、1-オキソ-1-ヒドロキシジチエノボスホールのホスフィン酸部位が酸化チタン表面に二座配位で化学吸着していることが示唆された。次に、浸漬法により酸化チタン電極上にTPをコール酸と共吸着させ、TP修飾酸化チタン電極を作製した。この電極の光電池特性を湿式2極系疑似太陽光照射条件下で評価したところ、1.6%のエネルギー変換効率を達成した。また、アクションスペクトルでは、TPの吸収に由来する光電流発生が確認され、外部量子収率は400nmで最高値66%に達した。この値は同一条件下でのN719色素の外部量子収率に匹敵する。以上の結果より、1-オキソ-1-ヒドロキシジチエノホスホールは色素増感太陽電池における新規アンカー基として有望であるとわかった。
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