2010 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを指向したネオジム添加新規酸化物単結晶材料の開発
Project/Area Number |
21350111
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
樋口 幹雄 北海道大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40198990)
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Keywords | 超短パルス固体レーザー / Ndレーザー / バナデイト / 半導体レーザー励起 / 発光帯のブロード化 / 浮遊帯溶融法 / 単結晶 |
Research Abstract |
Ndを発光中心とした半導体レーザー(LD)励起超短パルス固体レーザー材料の開発において,Ca-La-V-O系およびLaVO_4系を総合的に検討した結果,後者の方が高品質結晶の作製が容易であるため,22年度はNd:LaVO_4単結晶に絞って,浮遊帯溶融(FZ)法による育成技術の確立,およびその分光学的特性の異方性を明らかにすることを目標とした.まず,新たに導入した偏光顕微鏡を用いて,LaVO_4結晶の光学的弾性軸方向を決定し,この結果に基づいて,光学的弾性軸のひとつであるZ軸方向に沿った育成をおこなった.この方位では従来問題となっていた結晶側面におけるファセットの出現がなく,安定した育成がおこなうことができ,包有物や小傾角粒界などの巨視的欠陥のない,高品質結晶を再現性よく育成することに成功した.いずれの弾性軸方向でも同程度の吸収断面積,吸収帯幅を示し,808nm帯の吸収断面積は約2.0×10^<20>cm^2,半値幅は約20nmであった.Z軸方向の吸収の偏光依存性が小さいため,端面励起における励起光の入射方向として最も適していると考えられる.発光特性も方向によって大きな変化は無く,いずれの弾性軸方向でも1064nm発光帯の半値幅は8-10nmとブロードであり,短パルス発振が期待できる.また,発光についても偏光依存性は小さいことが明らかとなった.蛍光寿命は5%ドープした結晶でも~80μsと十分長い蛍光寿命を維持しているため,高濃度ドープにより吸収断面積が小さいという欠点を補うことができる.また,LaVO_4の屈折率は2.09(α)-2.22(γ),熱膨張係数は5.5-14×10^<-6>/Kであり,YVO_4のそれらよりも若干大きいことがわかった.以上の結果はNd: LaVO_4のLD励起による超短パルスレーザー用材料としての可能性を強く支持するものである.
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