2009 Fiscal Year Annual Research Report
フェロエレクトリック半導体による近中赤外超短パルス位相共役光学
Project/Area Number |
21360026
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
尾松 孝茂 Chiba University, 大学院・融合科学研究科, 教授 (30241938)
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Keywords | 超短パルスレーザー / 位相共役光学 / 非線形光学 / フォトリフラクティブ効果 |
Research Abstract |
「フェロエレクトリック半導体」は強誘電体としての大きな非線形性と半導体としての桁違いに速い時間応答をかねそなえ、これまで位相共役鏡の未踏波長領域であった近中赤外(1~1.6μm)帯で大きなフォトリフラクティブ活性を示す新しい材料である。 本研究の目的は、「フェロエレクトリック半導体」の一つSn_2P_2S_6(SPS)結晶の性能(高反射率、超広帯域、超高速応答、高光損傷閾値)を極限まで引き出し、近中赤外(1~1.6μm)の超短パルス光に対する革新的な位相共役鏡を構築することにある。 平成21年度は、1μm帯におけるピコ秒レーザーを用いてSPS結晶の二光波混合利得と位相共役波反射率を測定した。Rh:BaTiO_3結晶と比べ、2桁以上速い応答速度とほぼ同等の位相共役波反射率(~45%)を確認することができた。特に、CWレーザーを用いた場合に比べ、ピコ秒レーザーを光源として用いた場合には、SPS結晶の時間応答は1桁近く速くなることが分かった。この物理的なメカニズムは未だ完全には分からない。 1μmレーザーに対するSPS結晶の性能が評価できたので、実際にSPS結晶からなる位相共役鏡を側面励起Nd:YVO_4レーザー増幅器と組み合わせた位相共役レーザーシステムを構築した。最大出力6Wに達する高品質ピコ秒レーザーが開発できた。励起光パワーの変化に対する応答速度も1秒以下とBaTiO_3結晶に比べ格段に速い性能が得られた。
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