Research Abstract |
マイクロスケールの素子や要素は,製品や部品の重要な機能を担うようになってきた,本研究は,微細箔状素子のフレキシブルなファブリケーション方法として,金型を使用しないマイクロインクリメンタルフォーミングを開発し,遅れている微細塑性加工技術を促進させること,また必要に応じて,成形した薄膜微細素子に種々のコーティングとエッチングを施し高機能化を図ること,マイクロ塑性加工の基礎となる金属箔の極めて特異な変形機構を解明することを目的に,実施された. 加工物としては,加工が容易なアルミ箔の他に,難加工材ではあるが生体適合性や耐腐食性に優れ,バイオエンジニアリング用のマイクロ素子や小型燃料電池用の薄膜セパレータなど,将来的に多くの用途が考案されているステンレス箔を使用した. 先端半径10から100ミクロンの種々の超硬工具を適宜使用し,金属箔のマイクロインクリメンタルフォーミングにおける更なる微細化を追求した.アルミ箔については,最適化が一段と進み35ミクロン程度の大きさまでの薄膜微細構造の成形技術がほぼ確立された.しかしステンレス鋼では,さらなる構造寸法の微細化を進めることが未だに困難であることが分かった. 成形した多様な形状のアルミ箔に,ヘリコンスパッタ装置を用いて比較的低温でセラミックコーティングを施し,化学的安定性や熱的安定性を有する膜状素子を作成した.その後,水酸化カリウム溶液中でアルミ箔のエッチングを行い,セラミック薄膜のみの微細三次元構造体を作成した.今年度は,特に窒化チタンの微細構造体の作成技術に大きな進展がみられた. 難加工材であるステンレス箔の成形機構の解明のため,加工力の測定と潤滑状態の解析を行った.その結果,ピラミッド成形時の加工力の変化が,アルミ箔の場合と大幅に異なることが明らかとなり,工具の回転による静圧の増大が,成形限界に大きな影響を及ぼすことが確認された.
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