Research Abstract |
本研究の目的は,レーザスキャナによって取得された数千万から数億個の点群データから,大規模設備のモデリングを行うことのできる新しい形状処理カーネルを開発することにある.本年度は,複数のレーザスキャナの精度解析,精度管理手法,大規模点群からの曲面自動抽出,フィーチャ形状自動再構成手法,点群処理カーネルについて研究を行った.主たる成果は以下の通りである. (1)複数の位相差方式とタイムオブフライト方式のレーザスキャナに関して,精度評価を行った.その結果,計測装置に応じた誤差パラメータによる誤差モデルを構築した.また,その誤差モデルに基づいて誤差予測を行うことで,曲面抽出処理の信頼性が向上することを示した, (2)レーザスキャナの誤差はレーザ照射方向に大きくなるため,誤差分布は空間的に非対称になる.この性質を利用した最尤推定を行うことで,曲面計算の精度を向上できることを示した. (3)モデリング作業を自動化するために,大規模点群から高速で曲面抽出する手法を開発した.この方法では,曲面検出にRANSAC法を用いるが,大規模点群に対応するために,曲面探索領域を階層的に分割することで,大規模な点群でも実用的な計算時間で曲面検出ができることを示した.また,円柱の同軸性と直交性を利用して,断片的な円柱曲面から配管を再構成する手法を実装した。 (4)本研究の目的の一つは,大規模点群処理の手法の開発を通じて,点群処理システムを構築するためのカーネルを構築し,点群処理の実務での応用を促進することにある.この目的を達成するために,本研究を通じて開発した手法をソフトウェアパッケージとして統合した.本システムは,Windows,Linux,Mac OSXで稼働する.また,開発したシステムを技術移転するための作業を複数のソフトウェアベンダに対して行った.
|