2011 Fiscal Year Annual Research Report
極低温固液二相スラッシュ流体の伝熱・流動複合機構の研究
Project/Area Number |
21360091
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大平 勝秀 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (30375117)
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Keywords | 熱工学 / 流体工学 / スラッシュ流体 / 固液二相流 / 水素 / 強制対流熱伝達 / 再生可能エネルギー / 極低温流体 |
Research Abstract |
本研究では、非ニュートン性を有するスラッシュ流体の圧力損失低減と、低減に起因する熱伝達劣化が複合する伝熱・流動メカニズムを実験及び数値解析により解明する。スラッシュ窒素を使用して、昨年度実施した正方形断面管および新規に製作した正三角形断面管について、流速、固相率、熱流束をパラメータとして伝熱・流動実験を行った。円管の場合も含め、いずれの管も水力直径が小さい方が圧力損失低減及び伝熱劣化は低流速で出現し、正方形管、三角形管の低減(劣化)量は小さい結果を得た。低減効果は固体粒子が均一に分布する均質流で出現することを円管の実験で既に報告しており、円管と比べ正方形管、三角形管は管内の乱流エネルギーが大きく低流速でも均質流になること、乱流増大により低減効果が抑制されることが実験、数値解析の両者から明らかとなった。スラッシュ流体の圧力損失低減を考慮した圧力損失評価モデルの構築を行った。実験で得られた円管および正方形管の圧力損失は評価モデルにより±15%以内で推定できる。極低温配管で多用されるコルゲート管の圧力損失低減(液体単相と比べ50%低減を報告)について、コルゲート管を模擬した溝付可視化管を使用して固体粒子の流速測定(PIV法による)を行い低減現象の解明を行った。円管の場合と同様に固体粒子が管中央部に移動し、管壁の凹凸部との衝突が少ないこと、中央部の固体粒子が凹凸内部での乱流発生(再循環)を抑制することが低減の要因である。熱非平衡三次元二流体モデルを基にした数値解析プログラムを正方形管、三角形管に拡張し、PIV実験で得られたスラッシュ窒素の管内流速分布、乱流エネルギー分布と比較した結果、スラッシュ流体の管内流動・伝熱特性が評価可能となった。以上の成果はポンプ動力低減、超伝導機器の伝熱設計等に適用でき、スラッシュ水素と超伝導機器を利用した高効率水素エネルギーシステムの実用化に貢献できる。
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