Research Abstract |
本研究の2年目は,新概念コンポジットの交通機械に対する実用的な適用を図った。このため航空機では,中央翼,主翼リブ,外側フラップ,主翼前縁,フラットトラックパネル,エンジンカウル,胴体尾部,水平尾翼,垂直尾翼,などの構造を分析した。これから単純な形状へのリダクションにより解析的な方法を適用する場合と,原型に近い解析モデルを作成してFEM解析を行う場合に分けた。自動車構造については,ルーフ,ボンネット,サイドパネルなどについて,新概念コンポジットの適用を検討した。とくに自動車用の曲面パネルでは,座屈に対する強度が重要であり,曲面モデルに曲線状の強化繊維を配向させた場合の力学挙動を検討した。 航空機や自動車の交通機械構造は,いくつかの構造要素に分解できる。例えば平板や小さい曲率をもつ偏平シェル(パネル),はり,骨構造などである。新概念コンポジットからなるこうした構造要素は,構造の一部として,またはより大きな構造の近似モデルとして利用される。力学現象から見ると,静応力強度解析,振動解析,座屈解析,衝撃解析などがある。それらについて,従来から本研究室で蓄積してきた最適化手法(層別最適化法,数理計画法,遺伝的アルゴリズム,効率的反復大局解探索法)を適用して,それらの特性を最適化した。対象物は,可能なかぎり実用構造を用いて,新概念コンポジットの有利性を提示した。 実験については,前年度に習熟した動き解析マイクロスコープを利用して,交通機械構造の実物に近いモデルについて,動特性に関する実験を行った。また減衰測定システムにより,振動と衝撃に対する減衰特性を調べた。高次モードについては,従来のレーザー変位計や動き解析マイクロスコープは使用できないため,このシステムを活用して実験的な成果を得た。
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