Research Abstract |
真空中で発生させたアーク放電プラズマを用い,高品質(超平坦,均一,異物フリー)な薄膜を形成可能な新規のセミオート化フィルタードアーク蒸着装置に異種元素をドープする機能を備えたシステムの設計・製作を進め,装置の各機能を評価するとともに,昨年に引き続き異種元素ドープ・機能性高密度アモルファス炭素膜(機能性肌C膜)の創製を進めた。また,水素フリーアモルファス炭素膜の酸素イオンエッチングを実施した。本年度の成果は次のとおりである。 1基板固定台:蒸着装置内に仕込む基板固定台の動作プログラムの開発を進めた。同固定台は,3軸導入によって,回転,首振り,公転を独立して運動させることができるものである。また,アタッチメントを交換することによって,次公転運動もできるものとした。昨年,個々の運動の確認を行った。本年度は本固定台を用いて半球面状基材へ均一に水素フリーDLC膜を成膜するために動作の最適化を実施し,これまで困難であった半球面状基材へほぼ均一な膜が成膜できることを確認した。 2膜厚モニタ:基材の膜厚を光学的にモニタするための機構を開発および構築した。本モニタはファイバと光源とレンズで構成されており,真空チャンバ外から計測するために本設計とした。そのために,種々のDLC膜(水素含有,水素フリー)の反射率および消衰係数を明らかにしたとともに,真空チャンバペ膜厚モニタを取り付けた。 3ドープシステム:液体原料を蒸発させ,真空チャンバ内へ輸送する機構を構築し,テトラメチルシラン(TMS)の蒸気ガスをチャンバ内へ輸送し,Si含有DLC膜の成膜を実施した。生成膜を分析した結果,TMS蒸気ガスの効果で,Siおよび水素が膜内に取り込まれ,DLC膜の構造が変化していることを確認した。 4Si水素含有DLC膜(DLC:Si:H)の耐熱性:耐熱性を評価するために,赤外線高速昇温装置を用いて構造変化を温度に対して分析した結果,DLC:SiごH膜はDLC:H膜より高い温度まで構造が変化しないことが明らかとなった。
|