2011 Fiscal Year Annual Research Report
固有ジョセフソン接合超格子を利用したナノ超伝導スピントロニクスデバイスの創製
Project/Area Number |
21360142
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
入江 晃亘 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90241843)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大矢 銀一郎 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (00006280)
北村 通英 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (90161497)
佐久間 洋志 宇都宮大学, 工学研究科, 助教 (40375522)
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Keywords | ナノ構造 / スピントロニクス / 超伝導材料・素子 / 固有ジョセフソン接合 / トンネル現象 / 低温物性 |
Research Abstract |
本研究は,銅酸化物高温超伝導体に内在するナノ構造に起因した固有ジョセフソン接合に着目し,同接合超格子と強磁性体からなる積層構造を作製することにより,従来の超伝導素子やスピントロニクス素子にはない機能を探究するとともにそれを利用したデバイス開発を目指すものであり,H23年度は77Kにおける固有ジョセフソン接合のスピン伝導特性の観測並びにその解析を行い,以下の成果を得た. 高品質Bi_2Sr_2CaCu_20_y(BSCCO)単結晶を用いた正方形(面積5×5μm^2)並びに長方形(面積2×13μm^2)のCo(100nm)1Au(20nm)1BSCCOハイブリッド構造における固有ジョセフソン接合の臨界電流は,試料構造及び磁場印加方向により異なる磁場依存性が観測された.長方形試料の長辺に垂直に磁場を印加した場合は,ヒステリシスを伴う50%以上の臨界電流の変化が見られた.臨界電流の大きな抑圧は,ジョセフソン効果とスピン注入効果の相互作用によるものであり,スピン注入の影響を明らかにするために試料と同形状のCoのマイクロマグネティックスシミュレーションを行った.その結果,観測されたヒステリシスを伴う臨界電流の磁場依存性は,Coの磁化反転過程(回転磁化過程,磁壁移動過程)に依存することを見出した.この結果は,固有接合におけるスピン伝導を外部磁場で制御で制御可能なことを示唆しており,固有ジョセフソン接合をスピンデバイス応用する上で重要な知見である.
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