2009 Fiscal Year Annual Research Report
天然ダムの浸透・越流時の進行性破壊現象の解明とその予測
Project/Area Number |
21360220
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渦岡 良介 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 准教授 (40333306)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
仙頭 紀明 日本大学, 工学部, 准教授 (40333835)
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Keywords | 天然ダム / 原位置試験 / 浸食 |
Research Abstract |
地震による斜面崩壊によって発生した天然ダムによる河道閉塞を対象として、降雨や上流側の堰止湖の水位上昇に伴う浸透および越流に対する天然ダムの進行性破壊現象の解明を目的とする。天然ダムの堤体材料を用いた室内土質試験や模型実験の結果および実際の被災事例を参照データとして、土骨格・間隙水・間隙空気の三相の運動を扱う多孔質体理論に基づく進行性破壊現象を再現可能な解析手法を開発し、予測手法として確立することを目的とする。 平成21年度は、2008年岩手・宮城内陸地震において発生した河道閉塞を起こした天然ダムについて、既往の現地調査結果や水文データを収集し、天然ダムの形状、土質構成、地震後の経過状況などを整理した。また、後の室内試験や模型実験に用いる土試料を現地で採取した。さらに、天然ダムの断面構成を把握するため、湯ノ倉温泉地区の天然ダムの堤体において各種原位置試験を実施した。ボーリングおよび標準貫入試験の結果、堤体表層の8m程度は比較的細粒な土で構成されており、貫入抵抗も比較的小さいことがわかった。現場透水試験の結果、堤体の透水係数は0.01~0.1cm/sであり、比較的高い透水性を有していることがわかった。PS検層、表面波探査および電気探査の結果は貫入試験の結果と調和的であった。地震で発生した天然ダムの堤体の地盤工学的性状についてはこれまで調査例が少なく、ここで得られた結果は貴重な成果といえる。 湯ノ倉温泉地区の天然ダムの堤体から採取した土試料を用いて簡易な浸食試験を日本大学で実施した。浸食が発生する臨界せん断応力の値は土粒子の粒径や含水比に依存することがわかった。この傾向は既往の研究結果と調和的である。湯ノ倉温泉地区の天然ダム堤体材料は比較的細粒分が多く、浸食に対する抵抗はきれいな砂と比較して大きいこともわかった。
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