2010 Fiscal Year Annual Research Report
境界層計測プラットホームを用いた陸棚海底環境の実態計測とモデル化
Project/Area Number |
21360238
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Research Institution | Fisheries Research Agency |
Principal Investigator |
八木 宏 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, チーム長 (80201820)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 哲嚴 独立行政法人水産総合研究センター, 水産工学研究所, グループ長 (40372065)
小川 浩史 東京大学, 大気海洋研究所, 准教授 (50260518)
長尾 昌朋 足利工業大学, 工学部, 教授 (20198302)
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Keywords | 陸棚海域 / 観測プラットホーム / 底層環境 / 懸濁物質 / 数値モデル / PIV |
Research Abstract |
本研究では,沿岸域・陸棚海域の底層環境の実態を明らかにするために,懸濁物質を中心とした多角的な計測を可能とする境界層計測プラットホームを開発し,(1)海底境界層内の物理構造と懸濁物質の微視的・巨視的動態,(2)懸濁物質の起源・組成・変性特性を把握した上で,これに基づいた沿岸域底層-懸濁物質動態モデル構築を目的としている.平成22年度は,まず初年度に開発した境界層プラットホームの実海域(仙台湾沿岸域)での機能検証実験(観測)を夏季に行い,短期間(3日間)ではあるが多項目水質量の連続的な鉛直分布観測に成功し,同時に実施した調査船による広域水質調査結果を組み合わせることで懸濁物質の動態を含む仙台湾周辺海域における水塊の空間構造とその時間変動特性を示すことができた.さらに,懸濁物質の組成については,同観測時に境界層プラットホーム観測点で採取した試料から,懸濁粒子の有機炭素・窒素含量および安定同位体比を測定し,観測点周辺海域における懸濁粒子の起源についての解析を行った.一方,懸濁物質の微視的動態を計測するための現地PIV画像解析システムの開発に関しては,主にステレオカメラモジュールを使用した3次元計測の精度ついて検討した.可視化を利用した計測では,カメラ等の諸元を決めるため,3次元的で精密なキャリブレーションが必要であるが,現地計測でこのようなことはできない.そこで,現地でも適用可能な方法として,2次元的な較正板を用いた簡易的なキャリブレーション方法を開発し,それによって十分な3次元座標の計測精度が得られることを確認した.また,数値モデルについては,陸棚海域の底層環境モデルのベースとなる浮遊系~底生系結合型の低次生産モデルを構築した.
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