2011 Fiscal Year Annual Research Report
サイレント層の意識・位置づけを明確にする交通調査手法および計画プロセス
Project/Area Number |
21360241
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
久保田 尚 埼玉大学, 理工学研究科, 教授 (80205145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 正生 埼玉大学, 経済学部, 教授 (00240698)
藤井 聡 京都大学, 工学研究科, 教授 (80252469)
羽鳥 剛史 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (30422992)
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Keywords | 社会調査 / 沈黙の螺旋 / サイレント層 / 社会実験 |
Research Abstract |
(1)地区レベルの合意形成と社会実験:前年度までに実施した社会実験前後のアンケート調査の追加分析結果、及び当該地域のその後の動向を追うことでサイレント層の意識変容、社会実験が計画過程に及ぼす影響について分析を行った。その結果、社会実験の実施が"納得したサイレント層"を産む可能性及び、ノイジーマイノリティの影響を発見した。 (2)「沈黙の螺旋」と世論分析:交通計画において重要となる「声なき声」をくみ取る方法として、ナラティブアプローチに着目した。これは、当該地域の人々に、個別に長いヒアリングをかけ、それを通して、その地にどの様な「物語」が共有されているかを把握するものである。本研究では、別途アンケートを実施されていた川越市においてこれを実施し、アンケートでは把握仕切れない物語の抽出を図り、それに基づいた政策提言を行った。また、地域住民の「発言」、がどのような条件の下で促進されるかについて、ハーシュマンの離脱・発言理論に基づいて、実証的な検討を行った。その結果、発言と離脱との間に代替的関係が成立し、地域に対する離脱を抑制することを通じて、地域住民の発言行動が活性化することが示された。また、地域住民において、地域と関わり合いを持った経験の「記憶」が、地域との結び付きを深め、発言行動を活性化する効果を持つことが確認された。 (3)社会調査受難時代の交通調査論:対象者の選好に応じた調査手法を検討するため、郵送・WEB・訪問の3つの回収方法でPT調査を実施した。若者のWEB回収率は31%、高齢者の訪問回収率は45%となり、行政が実施するPT調査の郵送回収率を上回る結果となった。なお、郵送回収率は、若者で50%、高齢者で75%となり、最も回収率の高い調査手法であることが明らかとなった。以上から、複数の調査手法を組み合わせることによって、回収率の向上や、それに伴う調査コスト削減やデータ信頼性向上が期待される。
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Research Products
(5 results)