2010 Fiscal Year Annual Research Report
高加速度の強震地震動の動特性と建築構造物への入力評価
Project/Area Number |
21360263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 哲夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80111467)
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Keywords | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 耐震構造 / 強震地震動 / 高加速度 / 耐震設計 / 地震応答 / 鉄筋コンクリート構造 |
Research Abstract |
近年の2008年岩手・宮城内陸地震等において大きな加速度の強震動記録が得られているが、これらの地震に於いては周辺構造物には、高加速度値と整合する損壊発生が認められていない。本研究は、高加速度の強震地震動が建築構造物の損傷に与える影響を解析し、耐震設計の高度化を図ることに目的をおく。本年度に実施した事項は以下の3点に概述される。 1.最大地動加速度値(PGA)が0.5G以上の地震動を高加速度地震動と定義し、独立行政法人防災科研による強震観測ネットより高加速度地震動データセットを得た。1997年1月から2010年12月を期間として140例を抽出し、地震カテゴリーによる分類付けを行った。 2.超高層建築物等の設計確認時に多用されている米国El Centro記録、八戸港湾記録等の既往観測波8例を比較対象とし、建築物を弾塑性振動系にモデル化し、高加速度地震動データセットの構造物の応答性状に及ぼす動的特性を解析した。 (1)系の応答に及ぼす因子としてはPGAとの相関は低く、地動最大速度値(PGV)との相関が高い。このことは、高加速度地震動であっても、地動速度値が小さい地震動は構造物に過大な応答を生じさせない。 (2)既往観測波に比較し、高加速度地震動は高周波域の波形成分を卓越して含む傾向が認められる。この結果は、地動のPGAは大きくとも、PGVは大きな値をとらない地震動セットとなる傾向を示唆する。 3.基礎位置に多点入力を設定する詳細フレームモデルを構築し、基礎点間に時間差を設定した地動入力を加えて高加速度地震動入力時の応答性状を解析した。 (1)系が弾性の場合、入力の時間差が大きいほど、系の応答は低減する。 (2)系が弾塑性の場合、入力時間差が大きいほど、応答は軽減する。ただ、層間変形等の応答評価量によっては時間差を設定した場合の系の応答が大きくなる場合が認められた。
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Research Products
(4 results)