2011 Fiscal Year Annual Research Report
高加速度の強震地震動の動特性と建築構造物への入力評価
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21360263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
久保 哲夫 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (80111467)
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Keywords | 建築構造・材料 / 構造工学・地震工学 / 耐震構造 / 強震地震動 / 高加速度 / 耐震設計 / 地震応答 / 鉄筋コンクリート構造 |
Research Abstract |
1995年兵庫県南部地震以降、2004年新潟県中越地震、2008年岩手・宮城内陸地震等において大きな加速度を有する強震動記録が得られているが、周辺建築物には加速度値と整合する損壊は認められていない。2011年3月の東北地方太平洋沖地震においても、既往事例と同様に観測された高加速度地震動と建築物に認められる震動被害は必ずしも整合した傾向が得られていない。本年度に実施した事項は以下の3点に概述される。 1.東北地方太平洋沖地震において、本震および2012年9月迄の間の余震において得られた高加速度の強震地震動観測波形を(独)防災科研の強震観測ネットより抽出し、高加速度地震動データセットを拡充した。本震時に於いて59観測点で水平成分96成分の波形が得られた。 2.基礎多点入力を設定する4層6スパン構造の建物モデルを構築し、弾塑性フレーム解析により基礎点間に時間差を設定した地動入力を加えて高加速度地震動入力時の応答性状を解析した。本年度は、入力地震動特性に影響を与える建物周辺地盤構造の不均一性、不確定性等を確率事象と捉え、基礎に入力する地震動の時間差を零平均過程とする正規分布確率変数で規定した。各ケース20例の計算を実施し、平均と変動係数の統計量を算出し、ばらつきを含めて入力時間差による応答低減を定量的に評価した。 (1)入力の時間差を標準偏差の値で0.033秒とした場合と、0.10秒とした場合の解析結果では、入力時間差を大きく設定するほど建物応答は低減する。ただし、20例の結果において応答が増大するケースが1例認められた。 (2)構造物を強震時弾塑性状態とする場合、入力時間差による応答低減の効果は小さくなる。 3.本研究課題について、高加速度強震地震動の動特性、確定的に一様、確率論的に正規分布で時間差を規定した多点入力時の建築構造物の応答低減効果について取りまとめを行った。
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Research Products
(4 results)