2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ形燃料電池用新規電解質の開発と燃料電池特性の評価
Project/Area Number |
21360327
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
永井 正幸 Musashi Institute of Technology, 工学部, 教授 (80112481)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宗像 文男 東京都市大学, 工学部, 教授 (50386356)
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Keywords | アルカリ膜形燃料電池 / 電解質膜 / シリコーン系材料 / イオン交換容量 / イオン伝導率 / 電池出力密度 / 電極イオノマー / 電極作製法 |
Research Abstract |
アルカリ膜形燃料電池(AMFC)は、2000年代より研究が盛んになった燃料電池で、アニオン交換膜を電解質膜とした燃料電池であり、その構造はPEFCに類似している。PEFCとの最大の違いは電解質膜が塩基性である点であり、PEFCの課題を解決できる可能性がある。本年度は、シリコーン系材料を主骨格とするアニオン交換膜形燃料電池用電解質膜の作製と、その材料の電極作製への応用を中心に研究を進めた。電解質膜はエポキシ変性シリコンオイル中のエポキシ基と3級アミン塩とを反応させ、4級アンモニウム塩を生成させて合成した。得られたイオノマーを化学架橋させることで膜の形状安定性を付与した。得られた薄膜試料のイオン交換容量は0.74mmol/gであり、パーフルオロスルホン酸系高分子膜として代表的なナフィオンの70%に相当した。試料膜のイオン伝導率は1.7×10^<-4>S/cmであり、5重量%のメタノール水溶液を燃料とした燃料電池試験においては0.02mW/cm^2の出力密度が得られた。本試料膜とパーフルオロスルホン酸系高分子膜とを比較した場合、両者のイオン交換容量の比以上に導電率が低いことが分かった。この理由としては、膜内でイオン交換基が連続した構造をとっていないことが考えられる。出力密度の低さも電解質膜の抵抗の大きさが主な原因であると考えている。出発物質の構造から考えた場合、本試料膜のイオン交換容量の増大が可能であると考えられるため、合成条件の改良によるイオン交換容量の増大を現在継続して行っている。イオン交換容量の増大の後に、膜内のイオン伝導経路の改良による導電率の向上を検討する予定である。電極イオノマーへの応用については、電解質膜の前駆体溶液を用いてPEFC系と同様の手法で電極を試作している。PEFC系の電極作製手法より指針を得つつ、性能向上を図っている。
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