2009 Fiscal Year Annual Research Report
高度分子変換反応に有効な環境調和型新規不均一系ルテニウム触媒の創成
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21360393
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 健司 Kyoto University, 工学研究科, 講師 (10243049)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
細川 三郎 京都大学, 工学研究科, 助教 (90456806)
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Keywords | 触媒反応 / グリーンケミストリー / ルテニウム / 不均一系触媒 / C-H結合活性化 / セリア / アルキンへのカルボン酸付加反応 / C-C結合形成反応 |
Research Abstract |
原子効率に優れ、有害廃棄物を排出せず、かつ経済的な有機合成プロセスを可能にする環境対応型触媒の開発は重要である。特に不活性炭素一水素結合活性化を伴う分子変換反応は、最重要課題の一つであるが、これまでは均一系ルテニウム錯体触媒の使用が不可欠と考えられており、有効な固体酸化物触媒は見出されていなかった。そこで本研究では、不活性な炭素一水素結合や炭素一炭素結合の活性化を経る反応をはじめとする、多様な高度分子変換反応に有効な、環境調和型の不均一系ルテニウム触媒を開発する。 本年度の検討の結果、クロロアレーンによる芳香族炭素一水素結合の直接アリール化反応に対して、優れた活性を示すセリアおよびジルコニア担持ルテニウム触媒を開発した。特にリン添加剤存在下、適切な条件で還元前処理を触媒に施すことによって飛躍的に触媒活性が向上した。本反応には、セリアあるいはジルコニア担持触媒が特異的に有効であり、MgO、siO_2、TiO_2、Al_2O_3担持触媒では全く反応は進行しなかった。固体触媒からのルテニウムの溶出はほとんど無く、触媒の熱時ろ過試験によって本反応は固体触媒表面上で進行していることが示された。また、活性の低下を伴うことなく、少なくとも3回触媒の再使用が可能であり、高い環境対応型触媒機能を示した。 また、セリア担持ルテニウム触媒による、炭素一炭素結合の切断と再配列を伴うアリル基移動反応を初めて見出した。既に報告されている均一系触媒反応においては、ホスフィンや塩基等の大量の添加剤が必須であったが、本固体触媒の場合には添加剤は一切不要である点が特徴的である。やはりセリアあるいはジルコニア担持触媒が有効であり、MgO、SiO_2、TiO_2、Al_2O_3等を担体とした場合には本反応が全く進行しなかった。なお、触媒の再焼成によって、活性低下を伴うことなく再使用が可能であった。
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Research Products
(14 results)