2011 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界二酸化炭素の岩盤内圧入効率の改善と安全性確保に関する研究
Project/Area Number |
21360446
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 毅 京都大学, 工学研究科, 教授 (10232307)
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Keywords | 二酸化炭素地中貯留 / 岩盤力学 / Acoustic Emission / 微小破壊 |
Research Abstract |
二酸化炭素(CO2)による地球温暖化の緊急避難的な対策として,火力発電所や製鉄所などから排出されるCO2を分離回収し,地中に貯留する技術の利用が挙げられる.安全確実な地中貯留を行うためには,圧入されたCO2の地中での挙動を把握しておくことが望ましい.CO2が圧入される地下深部においては,その圧力ならびに温度からCO2は超臨界状態になることが予想されるが,岩盤温度が低い場合には液体状態になる.そこで本研究では,これらの状態のCO2を用いて岩石の水圧破砕試験を行い,圧入に伴う岩石の亀裂進展や流動特性を把握する実験を行っている. 平成23年度は,一辺17cmの立方体花崗岩に地下深部の地圧を模擬して3方向から6,4,3MPaの拘束圧を加え,その状態で供試体中央の円孔から超臨界CO2,液体CO2,水,粘性の高い油を高圧で圧入して破砕する実験を行った. 平成23年度の研究成果をまとめると次の通りである. (1)破砕流体の粘性は超臨界CO2,液体CO2,水,油の順に1オーダーずつ大きくなるが,水圧破砕試験の破砕圧力は粘性が小さいほど小さくなる傾向がみられ,超臨界CO2による破砕圧力は最も小さかった. (2)破砕時にAE (Acoustic Emission)を観測してその震源を決定し,AE震源の空間分布に対して近似平面を求めその平面からの震源の平均距離を求めるとともに,震源分布のフラクタル次元を求めた.その結果,油などの粘性の大きな流体の破砕では亀裂が平面的に分布するのに対し,超臨界CO2などの粘性の小さい流体の破砕では平面から逸脱して細かく分岐してより立体的に分布する傾向がみられた. これらの結果は,超臨界CO2は水などに比べて小さな圧力で岩盤に浸入して広く広がる傾向があり,大量に圧入しやすい半面,予想以上に遠方まで浸透する可能性があり注意を要することを示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
実験は当初の計画以上に進展しており,本研究の成果をさらに発展させるためには,破砕流体の粘性の違いによる亀裂の進展範囲の大きさの違いや,岩盤中に存在する自然の節理や断層面,層理面の影響,などを検討するため,現実の不均質な岩盤で実験を行うことが必要不可欠である.そこでの水圧破砕を計画し,かつ二酸化炭素が容易に超臨界状態になる高温岩盤がある黒部の高温トンネルでの実験を関西電力の協力を得て計画し,科研基盤Aに本研究の最終年度前年度に応募している.
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Strategy for Future Research Activity |
現実の二酸化炭素の地中貯留では,圧力の調整は圧入流量を調節することにより行うため,最終年度の今年度は,流量を変化させて超臨界CO2と液体CO2の圧入を行い,流量の違いによる破砕圧力や亀裂状態の変化を検討する予定である.なお,上記の科研基盤Aが採択された場合には,この室内実験と並行して,ただちに現場実験の準備に入る.
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Research Products
(2 results)