2012 Fiscal Year Annual Research Report
重イオン誘起水中高密度活性種挙動の時間及び空間分解解析
Project/Area Number |
21360470
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
田口 光正 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究主幹 (60343943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡辺 立子 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 原子力基礎工化学部門, 研究主幹 (10360439)
倉島 俊 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 放射線高度利用施設部, 研究副主幹 (50370391)
勝村 庸介 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (70111466)
須郷 由美 独立行政法人日本原子力研究開発機構, 量子ビーム応用研究部門, 研究副主幹 (90354836)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 重イオン / 水中化学反応 / 初期活性種 / 時間分解分光測定 / OHラジカル / 過渡吸収 / モンテカルロシミュレーション / トラック構造 |
Research Abstract |
本研究では、量子ビームの高度医学・工学利用に資するために、高エネルギー重イオン照射によって水溶液中に高密度に生成する活性種の挙動を理解することを目的としている。 AVFサイクロトロンからの重イオンビームをチョッパーによりパルス化し、オンラインでの照射・測定を行った。これまで、チョッパーを制御するトリガ信号のジッターは数ナノ秒であり、時間分解能が悪化する原因となっていた。そこで、トリガ信号を発生する回路を改良してジッターを数十ピコ秒以下まで低減することに成功した。さらに、水溶液試料への重イオン照射によって生じる水酸化ラジカルの挙動を、NaBrをプローブとして分光学的に観測した。OHラジカルの生成量を反映するBr2-の生成量は、照射エネルギーが一定、すなわち、ビーム軸に対する横方向の広がりが一定の場合には、照射核種およびLETの増加に伴い、減少することを明らかにした。さらに、サブナノ秒からマイクロ秒の時間領域において、時間の経過に伴いBr2-の生成収率が減少することを定量的に測定した。OHラジカルとBr-の関連する反応の速度定数を電子線パルスラジオリシス法により再評価し、実験結果を再現できるようにほぼ決定することができた。また、重イオンによる細胞集団・細胞核内での空間的な微視的線量分布および直接・間接効果双方によるDNA損傷分布のモンテカルロシミュレーション解析を行い、実験データとの比較により、その妥当性を確認した。さらに、重イオンによる水溶液中DNAに生じるクラスター損傷の実験およびシミュレーション解析を行い、水分解活性種を介する間接効果によるクラスター損傷生成への寄与を明らかにした。 以上、高エネルギー重イオン照射によって水溶液中に高密度に生成する活性種の反応を時間経過及び空間的広がりをパラメータに解析し、細胞への照射効果の基礎過程を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Research Products
(28 results)