2011 Fiscal Year Annual Research Report
階層的イオン伝導チャンネルを用いたハイパワー高エネルギー密度電極の構築
Project/Area Number |
21360479
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
八尾 健 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (50115953)
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Keywords | エネルギー全般 / 複合材料・物性 / イオン結晶 / 固体イオニクス / 二次電池 / 酸化鉄 |
Research Abstract |
1.サブナノイオン経路物質の合成と評価:昨年度までに、鉄系レイヤー構造酸化物CaFeO2をリチウムイオン電池負極とした場合、コンバージョン反応と、それに引き続くLi2Caの生成と考えられる反応によって約1050mAhg-1という大きな還元容量が得られた。しかし、結晶性の悪さや、その場測定の難しさから、LiとCaの金属間化合物の生成を立証することは困難であった。そこで、Liと合金反応を起こさないSr系のSrFeO2について調べた。SrFeO2は、0.9V(vs.Li+/Li)および0.3V付近で、それぞれ約330、370mAhg-1の容量を持った2段階の反応を示した。それぞれLi++4e-+SrFeO2→2Li2O+SrO+Feおよび2Li++2e-+SrO→Li2O+Srに対応すると考えられる。理論容量は、それぞれ306、304mAhg-1である。実験での理論容量よりも大きな容量は、副反応を示唆するが、SEIが生成すると考えられるため、実際には、いずれの段階もほぼ理論容量に対応した値と推測される。したがって、CaFeO2で起こった合金化反応が、SrFeO2では起こらなかったと考えられる。 2.ナノーメソイオン経路をもつ複合体:昨年度から引き続き、マグヘマイト(γ-Fe2O3)とケッチェンブラックを用いたナノーメソ構造複合体の空気電池電極特性を調べた。酸素分圧により主生成物が変わり、0.1atm以下ではLi2O2が、高酸素分圧側ではLi2Oが生成することがわかった。また、Li2Oは直接酸化分解されるのが難しく、一旦Li2O2となってからリチウムイオンと酸素分子に分解されること、触媒は2Li2O+O2→2Li2O2を促進することで、分解を促すことを示唆する結果が得られた。なおこのときの反応系の酸素は空気からでなく、酸化鉄から供給されることが示唆された。
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