2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370012
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
巌佐 庸 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (70176535)
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Keywords | 種の多様性 / 中立モデル / 伝統漁法 / 社会的関心の喚起 / 樹木の一斉開花 / 海藻の世代交代 / 形態形成 / 数理モデル |
Research Abstract |
地球上には非常に多様な生物が棲み、競争や、捕食、共生などのさまざまな関係を結ぶ。生息地の間を移動や分散し、個体数変動やときには局所的絶滅を示す。そしてその生活の結果、土壌をつくり気候を穏やかにし、水や元素などの循環をもたらす。生物がその生活を通じてつくりあげるシステムの全体を、生態系という。 今年度は、以下の課題において成果を挙げた: (1)孤立する森林や島状の生息地(もしくは保護区)において、時間とともに種数が減少するプロセスに関する新しい公式を導いた。それによると面積および生育できる総個体数が、多様性保持に最も重要である。これは保護区を設定するに際してこれまで用いてきたクライテリアに疑問を呈するものである。論文はPNASに掲載された。 (2)韓国チェジュ島における伝統的漁法(海女)とエコツーリズムとの兼ね合いを生態経済学的に解析した。論文はEcol.Econ.い掲載。また保護区に対する住民への関心を高める活動(環境教育など)にどれだけの資源(人員)を割くべきかを議論する動的最適化理論の論文を執筆し投稿した。 (3)樹木の一斉開花結実の進化要因を解析する理論的研究を進めた。更新における実生集団の影響が改めて明確になり、捕食者の影響も調べた。J.Ecology, Theor.Popul.Biol.等に数編掲載した。 (4)そのほか、海藻の生活史(異形世代交代と同形世代交代)の進化の説明、捕食者と被食者の共進化と表現型可塑性がもたらすダイナミックスへの影響を解析した。(EER, JTB, Evolutionなど) (5)加えて発生に置ける形態形成のモデル化も進めた。これは生態系の機能の多様性に深い関連がある。(Biophysical J., JTB, Phys.Rev.E, PNASなど)
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