2010 Fiscal Year Annual Research Report
シダ植物の無配生殖種における遺伝的多様性の獲得機構
Project/Area Number |
21370037
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
村上 哲明 首都大学東京, 大学院・理工学研究科, 教授 (60192770)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
林 蘇娟 島根大学, 生物資源科学部, 准教授 (10362914)
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Keywords | シダ植物 / 無配生殖 / 有性生殖 / 交雑 / 遺伝的多様性 |
Research Abstract |
本研究の目的の一つは、シダ植物の無配生殖種が大きな遺伝的多様性を獲得・維持しているのは、どのような機構によるのかを、互いに近縁な無配生殖種と有性生殖種が混成しているベニシダ類の野生集団、あるいは無配生殖種のみが生育しているにもかかわらず高い遺伝的多様性のみられるヤブソテツ類の野生集団の詳細な細胞学的・遺伝的な比較解析、あるいは人工栽培下の同様な解析によって明らかにすることである。 H22年度は、ベニシダ類については、伊豆大島で溶岩流と有性型、無配型の分布の関係を詳しく調査した。その結果、新しい時代に溶岩が流れた場所にのみ有性型が高い頻度で存在していることが明らかになった。また、首都大と科博に所蔵されている標本を用いて有性型の分布を調べたところ、島や海沿いの氷期にも談温帯林が残っていたと考えられる地域に分布していることが明らかになった。 一方、ヤブソテツ類については、特定の親個体の胞子体から採取した胞子に由来する次世代の配偶体、ならびにそれから生じた次世代の胞子体の遺伝子型を調べ、親個体の遺伝子型と比較をした。その結果、配偶体では11/250個体、胞子体では8/482個体が遺伝的分離を起していた。すなわち、無配生殖種での遺伝低分離を結構高い頻度で起こすこと、これが無配生殖種の集団内にも遺伝的多型が見られる主要な要因であることが示された。また、配偶体の方が胞子体よりもより高い頻度の遺伝的分離を示したことは、無配生殖型も有害遺伝子をもっていることを強く示唆していて、非常に興味深い。
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Research Products
(6 results)