2011 Fiscal Year Annual Research Report
ヘムをシグナル伝達分子として機能する蛋白質制御系の構造化学的基盤
Project/Area Number |
21370040
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石森 浩一郎 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (20192487)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
内田 毅 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (30343742)
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Keywords | ヘム依存性制御蛋白質 / 酸化修飾 / 活性酸素 / ヘム生合成 / 鉄代謝 |
Research Abstract |
平成23年度は以下のような研究成果が得られた。 1.Irrにおける酸化修飾機構の解明 Irrの酸化修飾反応における酸化活性種の産生機構を明らかにするため、その産生部位と想定されるヘム制御モチーフ(HRM)部分へのヘム結合による酸化活性種の産生を検討した。IrrはHisクラスタ領域にもヘムを結合することが報告されており,さらにこの部位のヘム結合残基は同定されていないため,HRM部分にのみヘムを結合したIrr変異体を作成するのは困難であった.そこで,Irrと同じ蛋白質ファミリーに属し,配列相同性の高いものの,ヘムを結合しないことが報告されている酸化ストレスセンサー蛋白質PerRを用いて,PerRにHRMを導入することで,HRMにしかヘムを結合しないIrr様蛋白質,iPerRを作成し,その酸化修飾反応を検討した.その結果,iPerRはIrr同様,ヘム依存的に酸化修飾反応が観測され,HRMに結合したヘムのみでIrrにおける酸化修飾反応は進行することが明らかになった. 2.IRPにおける新たな機能発現機構の検討 これまでの本研究課題の結果から,IRPにヘムが結合することにより,酸化修飾を経ることなく,その標的RNAであるIRE (Iron Response Element)への結合が阻害されることをゲルシフトアッセイにより示してきたが,その結合特性をより定量的に議論するために,精製したIRPに蛍光ラベルしたIREを用いてその結合を蛍光の偏光解消度から追跡し,IRPのIREに対する親和性とそのヘムによる結合阻害を検討した.その結果,ヘムによって酸化修飾を受けないIRP1のIRE結合親和性は,ゲルシフトアッセイ法で想定されたよりはるかに弱いことが明らかになった.
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