2009 Fiscal Year Annual Research Report
バチルス属細菌がもつ新奇なべん毛モーター固定子複合体の機能と構造の解明
Project/Area Number |
21370074
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
伊藤 政博 Toyo University, 生命科学部, 教授 (80297738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺原 直矢 東洋大学, バイオ・ナノエレクトロニクス研究センター, 研究助手 (40554738)
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Keywords | べん毛モーター / 好アルカリ性細菌 / イオンチャンネル / ハイブリッドモーター / 枯草菌 / プロトン駆動力 / ナトリウム駆動力 / 固定子 |
Research Abstract |
今回の研究課題では枯草菌やBacillus clausiiが持つべん毛モーターについて、(1)一つのモーターユニットのトルクを算出することにより、モーターの性能を解析すること、(2)枯草菌のべん毛固定子MotAB、MotPSと相互作用する回転子複合体の構成タンパク質であるFliGに着目し、べん毛モーターの回転に関与するアミノ酸残基を特定すること、(3)B.clausiiが持つユニークな環境pH応答型固定子MotABと枯草菌が持つNa^+駆動型固定子MotPSについて、大量精製系を確立してX線結晶構造解析を行い、モーターの回転機構を原子レベルで解明することを計画している。 2009年度は、(1)では、枯草菌においてビーズアッセイ法を用いて枯草菌野生株および枯草菌のmotAB遺伝子とmotPS遺伝子を欠損して運動性が欠損している株にコントロールとして枯草菌のMotAB発現株(H^+のみを共役イオンとして利用できる)と枯草菌のMotPS発現株(Na^+のみを共役イオンとして利用できる)を用いて、それぞれの菌株の一本のべん毛のモーター特性を4分割光センサー顕微鏡を用いて測定し、基本的なデータを取得することができた。今回は、単一条件での測定であったので、次年度以降は、測定バッファーのpHやナトリウムイオン濃度を変化させて行う予定でいる。(2)では、枯草菌でこれまで明らかにされていないべん毛モーターの回転子と固定子の回転相互作用に関与するアミノ酸残基の同定を部位特異的変異導入法により作成した変異株を用いて試みた。しかし、多くの変異株においてウエスタンブロットによるMotタンパク質の細胞膜への発現を検討した結果、細胞内プロテアーゼに対しての感受性が上昇したと思われる著しい発現量の低下が見られた。この問題点を解決するために、主要な細胞内プロテアーゼの欠損株を用いて、再度、固定子と回転子の変異株の解析を検討したいと考えている。(3)では、次年度以降に本格的に研究を展開する予定である。
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