2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 重和 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (00292376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 真吾 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 研究員 (80570291)
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Keywords | 光 / 生体リズム / メラトニン / 瞳孔 / メラノプシン |
Research Abstract |
光の非視覚的作用のひとつであるメラトニンの光抑制について、網膜の鼻側に光を照射したときの方が、耳側に照射したときに比べてメラトニンの抑制が大きいことが報告されている。一方で、光の非視覚的作用に関連するメラノプシンの網膜上の分布は耳側に高密度に分布していることが知られており、両者の間には矛盾がある。本研究では、網膜上の異なる部位に光を照射したときのメラトニン抑制と瞳孔反応を調べることを目的とした。実験1)正常な色覚をもつ健常な若年成人6名を対象に、網膜の耳側と鼻側に別々に光を照射した時のメラトニン抑制量を調べた。光の照度は目の位置で500ルクスに調節し、深夜に2時間の光曝露を行った。その結果、鼻側と耳側の光照射でメラトニンの抑制量には有意な差はみられず、先行研究を指示する結果は得られなかった。実験2)正常な色覚をもつ健常な若年成人12名を対象に、網膜上のメラノプシンの分布密度を調べるために、青色と赤色のLED光を網膜上の異なる部位に照射した際の瞳孔反応を測定した。その結果、耳側よりも鼻側に照射した時の方が瞳孔の縮瞳量が有意に大きかった。この結果は赤色と青色光で違いがなかったことから、錐体の密度分布を反映した結果と考えられた。赤色光と青色光の違いは、網膜の耳側(中心から10°の位置)の一部分に認められ、青色光で赤色光に比べて縮瞳が有意に大きかった。この違いはメラノプシンの密度分布を反映している可能性が示唆された。以上の結果より、瞳孔反応では、網膜上の錐体やメラノプシンの密度分布を反映する結果が得られたが、メラトニン抑制に関してはそのような結果は得られにくいことがわかった。
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Research Products
(7 results)