2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21370112
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
樋口 重和 九州大学, 大学院・芸術工学研究院, 教授 (00292376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北村 真吾 国立精神・神経医療研究センター, 精神保健研究所・精神生理研究部, 流動研究員 (80570291)
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Keywords | 生体リズム / 交替制勤務 / メラトニン / 健康 / 光 |
Research Abstract |
交替制勤務者はガンのリスクが高いことが報告されている。その原因のひとつに、夜間の光曝露によるメラトニンの抑制が関係している可能性がある。本年度は、夜勤者の光によるメラトニン抑制を防ぐ方法として夜間の仮眠に着目した。夜勤時の仮眠は、眠気や疲労の蓄積を防ぐ効果があることが従来からよく知られている。しかし、夜勤時の仮眠がメラトニンの分泌に及ぼす影響はほとんど知られていない。夜勤時に仮眠をとることによって遮光効果が期待できることから、光によるメラトニン抑制を防ぐことができると考えられる。本実験の目的は夜勤時の仮眠がメラトニン分泌に及ぼす影響を明らかにすることにある。被験者は健康な男子大学生8名であった。2夜の模擬的夜勤実験を実施し、条件は仮眠有りと仮眠無しとした。夜21時から朝9時までの12時間の夜勤を想定し、仮眠有り条件では午前3時から午前5時まで2時間の仮眠をとらせた。実験室の光環境は白色の蛍光灯を用い、被験者の目の位置での鉛直面照度は500lxに設定した。実験中は少量の唾液を30分または1時間毎に採取、RIA法により唾液中のメラトニン濃度の測定を行った。また、実験に入る前に終夜の睡眠中に2時間毎に唾液を採取し、通常の夜間のメラトニンの分泌量の測定も行った(対照条件)。実験の結果、夜勤時には対照条件に比べて有意にメラトニンが抑制されていた。仮眠あり条件では、仮眠2時間後(午前3時)のメラトニン濃度がほぼ対照条件と同じレベルまで戻っていることがわかった。以上の結果より、夜間の仮眠によって、一次的ではあるが光によるメラトニン分泌の抑制を防ぐこができることが分かった。夜勤時の光は体内時計の乱れも引き起こす危険があることから、今後は夜勤時の仮眠が概日リズム位相へ及ぼす影響も明らかにする必要があることがわかった。
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Research Products
(7 results)