2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21380035
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
桜井 勝 金沢大学, 副学長 (80143874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩見 雅史 金沢大学, 自然システム学系, 教授 (40193768)
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Keywords | エクジソン / 膜受容体 / 細胞死 / カイコガ / 前部絹糸腺 / グルコース / 幼若ホルモン |
Research Abstract |
20-ヒドロキシエクジソン(20E)作用のうち、genomic 作用は18時間以内に完了するが、nongenomic 作用は72時間にわたり作動し、この間シグナル伝達系が順次活性化され細胞死の完了に必要な因子の活性化が完了する。一方、吐糸期前日までの前部絹糸腺は細胞死抑制因子を分泌し、早期の細胞死を抑制している。因子を同定した結果、glucose oxidase (GOD)であった(昨年度の研究成果)。GODは絹糸腺細胞によりつくられ、内腔内に分泌されるものと示唆される。よって、前部絹糸腺の細胞死における20Eの分子作用は、genomic 作用、nongenomic 作用、それに自己分泌因子による20Eの作用の抑制という、少なくとも3つの異なる系から構成されていることが示された。 本研究は、当初想定しなかった因子の同定に進んだが、本年度は、この因子の影響を排除した培養環境下で、前部絹糸腺の20E応答能を再検討し、予定細胞死のコミットメントを誘導する機構について再検証した。すなわち、蛹コミットメントは幼若ホルモンが抑制的に働くが、死のコミットメントにおける幼若ホルモンの関与の有無について検証した。結果、in vitroで培養した5齢2日幼虫、4齢3日にアラタ体を摘出した幼虫の前部絹糸腺の細胞死は進行せず、5齢2日以前の予定細胞死進行は幼若ホルモンにより抑制されていることが示唆された。 以上より、細胞死抑制因子の活性が低い時期の前部絹糸腺は幼若ホルモンにより抑制され、死のコミットメントも蛹コミットメント同様、幼若ホルモンにより制御されていることが明らかとなった。
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Research Products
(2 results)