2011 Fiscal Year Annual Research Report
スフィンゴ糖脂質代謝マシーナリの構造と機能及び応用に関する研究
Project/Area Number |
21380066
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊東 信 九州大学, 大学院・農学研究院, 教授 (40253512)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角田 佳充 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (00314360)
沖野 望 九州大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (90363324)
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Keywords | 糖脂質 / 酵素 / 生体分子 / 糖鎖 / 菌類 / エンドグリコセラミダーゼ / EGCrP / 感染症 |
Research Abstract |
クリプトコッカスの糖脂質(グルコシルセラミド)は、その脂質(セラミド)部位の構造がヒトと大きく異なっていて、病原性に強く関わっていることが知られている。この糖脂質がクリプトコッカス菌体内でどのように代謝されているのかは全く分かっていなかった。今回、この糖脂質の代謝に係わる酵素(EGCrP1)を同定することに初めて成功した。この酵素は菌体内で不要になった真菌型グルコシルセラミドを分解するだけでなく、合成途上で誤って合成された規格外のグルコシルセラミドも分解除去していることが初めて分かった。規格外のグノレコシルセラミドは病原性に関与しないことが分かっているので、本酵素による糖脂質の品質管理は、クリプトコッカスが病原性を保つための重要な機構の1つと考えられる。この酵素遺伝子を破壊すると、病原性に重要な役割を持つ莢膜形成の異常も観察された。さらに、EGCrP1のホモログ遺伝子EGCrP2も同定された。EGCrP2の欠損変異体は、エルゴステロールグルコシドが蓄積し、細胞分裂の異常が観察された。 今回見出された糖脂質分解酵素遺伝子は、クリプトコッカスのみならず、四大真菌症と呼ばれるムコール症、アスペルギルス症、カンジダ症の原因菌にも存在することが分かった。今回の発見は、病原性真菌に共通する糖脂質代謝機構の解明、それを標的にした抗真菌剤の開発につながることが期待される。 また、エンドグリコセラミダーゼを用いた新しい糖脂質の細胞グリコミクス法を開発した。本法によって、様々な細胞の糖脂質パターンを解析した。これらの糖脂質から疾病や細胞分化の新しい糖鎖マーカーが得られる可能性がある。
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