2012 Fiscal Year Annual Research Report
ブナ林堅果豊凶作メカニズムの解明:安定同位体による土壌ー植物間窒素循環系の定量化
Project/Area Number |
21380103
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Research Institution | Forestry and Forest Products Research Institute |
Principal Investigator |
韓 慶民 独立行政法人森林総合研究所, 北海道支所, チーム長 (40391180)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壁谷 大介 独立行政法人森林総合研究所, 植物生態研究領域, 主任研究員 (30353650)
稲垣 善之 独立行政法人森林総合研究所, 立地環境研究領域, 主任研究員 (00353590)
楢本 正明 静岡大学, 農学部, 助教 (10507635)
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Project Period (FY) |
2009-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 生態・生物多様性 / 至近要因 / 窒素 / 非構造性炭水化物 / 貯蔵資源量 / 年収支 / マスティング |
Research Abstract |
樹木の結実量は、様々な要因で大きく年変動する。この結実の豊凶現象(マスティング)については、これまで豊凶の周期性の意義を進化生態学的な視点から解釈しようとする研究(例えば「捕食者飽食仮説」など)が多く、結実豊凶そのもののメカニズムの解明に踏み込んだ研究は限られていた。その中には、種子生産の豊凶変動を植物体内の貯蔵資源の蓄積と枯渇のバランスから説明しようとする理論的モデルなどが知られている。しかし、長期にわたって豊凶自体の観測データを加えた樹体内の資源の配分プロセスを明らかにした研究例は極端に少ない。本研究では、窒素化合物と光合成産物の非構造性炭水化物(NSC)の樹体内の貯蔵機能の経年変化に着目し、結実豊凶の機構解明に取り組んできた。その結果、以下のような重要な事実を見いだした。① 種子生産にはその年の光合成産物が利用され、貯蔵NSCはほとんど利用されない。②豊作年の冬期にはNSCの年貯蔵量が低下するが、種子生産に必要な資源量に対して3倍以上高い。③種子の成長期には、葉や枝が窒素の貯蔵器官として機能し、そこから窒素の一部が種子へ転流される。④土壌から吸収した窒素も種子生産に大きく貢献し、豊作直後であっても窒素貯蔵量は低下せず、その量は常に種子生産に必要な窒素量より2倍以上高い。以上の知見は、結実豊凶に関する上述の理論的モデルの前提条件、すなわち豊作年には数年かけて蓄積された炭水化物が種子生産に利用されるという仮定を覆すもので、樹体内の窒素や炭水化物などの年貯蔵量は開花を引き起こす決定的因子ではないことは解明された。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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