2009 Fiscal Year Annual Research Report
養殖現場を視野に入れた魚類ウイルスRNAワクチンの実用化
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21380112
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
吉水 守 Hokkaido University, 大学院・水産科学研究院, 教授 (40122915)
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Keywords | ウイルス / ワクチン / インターフェロン / 魚病 |
Research Abstract |
本研究は、インターフェロン(IFN)を利用し、簡便かつ実用的な魚類ウイルスに対する免疫方法(Poly(I:C)免疫法)の確立と実用化を目指すものであり、本年度はニジマスとIHNVをモデルに以下の成果を上げた。1)ニジマスに非病原性のIPNVを接種し、次いでIHNVで攻撃を実施し、予めIPNVに感染したニジマスがIHNVの攻撃に対し抵抗性であることを示した。2)IHNV攻撃で生残したニジマスの血清中に、抗IHNV抗体が誘導されていることを確認した。3)上記IHNV1次攻撃生残ニジマスをIHNVで再攻撃し、IHNVによる再攻撃に対し抵抗性であることを確認した。以上の結果より、IPNVに続きIHNVで攻撃したニジマスがIHNVに対する免疫を獲得することが明らかになった。次いで、4)IPNVの代わりにIFN誘導物質であるPoly(I:C)を用いて同様の実験を行った。すなわち、Poly(I:C)を接種することによりIFNが誘導されたニジマスがIHNV攻撃に対し抵抗性であることを実験的に確認することで、Poly(I:C)接種ニジマスが抗ウイルス状態であることを確認した。5)IHNV攻撃生残魚の血清中に抗IHNV抗体が誘導されていることを確認し、さらにIHNVによる再攻撃試験により、IHNV1次攻撃生残魚がIHNVに対し抵抗性であることを確認した。6)本法では、抗ウイルス状態の魚の免疫に生ウイルスを用いるが、本法で免疫した魚を解体しウイルス検査を実施したところ、免疫魚がウイルスキャリアーとならないことを確認した。以上の実験により、IPNVあるいはPoly(I:C)を接種することでニジマスが抗ウイルス状態になること、さらに抗ウイルス状態にある魚をIHNVで攻撃することにより、ニジマスを殺すことなくIHNVに対する免疫を獲得させることが可能であることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)