Research Abstract |
ウロコの非コラーゲン性基質タンパク質の同定:TOF-MS解析により,線維層板に含まれると予想される6種のタンパク質,石灰化部位に含まれると予想される2種のタンパク質の同定に成功した。また,cDNAライブラリのイムノスクリーニングに用いるための2種の抗体(抗線維層板非コラーゲン性基質抗体,抗EDTA可能性基質抗体)を作製した。 同定された基質タンパク質等の機能解析:鱗の再生過程,骨および歯の成長過程におけるRunx2,SPARC,BGPのin situ hybridizationにより,これら因子が鱗,骨,歯の成長や再生に共通して機能することを確認した。また,鱗培養細胞におけるRunx2,SPARC,BGPおよびI型コラーゲンの発現を確認し,鱗培養細胞が生体内のうろこ形成細胞の機能を維持していることを確認した。 魚類コラーゲンの変性温度制御機構の解析:キンギョの各種臓器からI型コラーゲンを抽出し,その変性温度が臓器ごとに異なること,変性温度はPro,Hyp,Lys,Hyl含量とは相関せず,α3サブユニット含量と強く相関することを明らかにした。 再線維化におけるコラーゲン線維配向構造の構築と材料物性:磁場内での配向構造創出をおこない,その粘弾性特性は4T(テスラ)のときに最も高い値を示すこと,引張強度は磁場強度が最も高い12Tで最大値80MPaを示すことを明らかにした。さらに,鱗コラーゲン(変性温度36度)がブタ真皮由来コラーゲン(同42度)とハイブリット線維を形成し,その熱安定性が混合量比により有意に変化することを見出した。また,形成した線維は量比に関係なくコラーゲン線維に特有な縞状構造を示すことを明らかにした。
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