2010 Fiscal Year Annual Research Report
再生鱗をモデルとしたコラーゲン配向機構の解明-魚コラーゲンから生体修復材料を造る
Project/Area Number |
21380116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
都木 靖彰 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (10212002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 俊之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20370306)
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Keywords | 魚類コラーゲン / 鱗 / コラーゲン配向 / 変性温度 / 非コラーゲン性基質タンパク質 / 人工骨 / 再生医療用デバイス |
Research Abstract |
ウロコの非コラーゲン性基質タンパク質の同定:LC-MSIMS解析により,線維層板に含まれると予想される基質タンパク質11種の同定に成功した。これらの中にはI型コラーゲンと結合するSmall Leucine-rich Proteoglycans (SLRPs)であるbiglycan, lumicanや,II型コラーゲンに結合するSLRPであるchondroadherinが含まれていた。これらは鱗のコラーゲン線維配向を制御するタンパク質の有力な候補である。 同定された基質タンパク質等の機能解析:MS解析で検出された上記3種のSLRPsおよびI型コラーゲンに結合するSLRPsであるdecorin, keratocanのあわせて5種のmRNAsのゼブラフィッシュ鱗における発現をRT-PCRにより確認した。また,biglycan, lumican, decodn, keratocanに関してはキンギョの再生鱗における発現をin situ hybddization法により調べこれらが鱗の線維層板形成細胞に強く発現することを確認した。これらの結果により,SLRPsが線維層板におけるコラーゲン線維配向を調節する可能性が強く示された。 再線維化におけるコラーゲン線維配向構造の構築と材料物性:ウロコの層状構造の各界面の構造に関して原子間力顕微鏡を用いてその線維構造の解析を行った。その結果、リン酸カルシウム結晶群が存在する付近では、線維配向構造が乱れることを明らかとした。また、脱灰により、リン酸カルシウムを取り除くと、その配向構造が維持されることが確認した。これらのことは、ウロコを脱灰処理することで透明性が極めて優れた生体材料への活用が期待できることを示唆していた。また、コラーゲン再線維を用いた新規メソ多孔材料の開発に成功した。
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