2011 Fiscal Year Annual Research Report
再生鱗をモデルとしたコラーゲン配向機構の解明-魚コラーゲンから生体修復材料を造る
Project/Area Number |
21380116
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
都木 靖彰 北海道大学, 大学院・水産科学研究院, 教授 (10212002)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
生駒 俊之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (20370306)
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Keywords | 魚類コラーゲン / 鱗 / コラーゲン配向 / 変性温度 / SLRPs / 人工骨 / 人工角膜 / 生体修復材料 |
Research Abstract |
同定された鱗基質タンパク質の機能解明(都木担当) 1.ゼブラフィッシュのデコリンおよびミメカンのクローニング:RT-PCRおよびRACE法により両遺伝子のクローニングを試みたところ,両遺伝子とも複数のアイソフォーム(もしくはバリアント)が存在することを明らかにした。哺乳類では両遺伝子を含む各種SLRPs遺伝子に複数のアイソフォーム(もしくはバリアント)が報告され,しかもそれぞれの機能が異なることが推定されている。現時点ではゼブラフィッシュのデータベースには1種類のデコリンおよび1種類のミメカン(オステオグリシン(ミメカンの別名)として登録)しか登録されていないため,データベースを補完するためにも,SLRPs遺伝子のクローニングを徹底的におこなう必要がある。 2.モルフォリノノックダウン系の確立:鱗再生部位へのvivo morpholinoのマイクロインジェクション法を確立したが,鱗形成細胞の遺伝子発現を抑制できなかった。 3.基質タンパク質のリコンビナントタンパク質合成:大腸菌を用いたリコンビナントタンパク発現形を構築し,現在デルマトポンチンとビグリカンの大腸近位夜発現を確認した。 コラーゲン変性温度制御機構の解明(都木担当) 夏期(水温25℃)と冬期(水温10℃)にサンプリングしたコイの皮膚,鱗のI型コラーゲンを精製し,その変性温度は両組織ともに夏期のコラーゲンの方が2℃高いことを明らかにした。また,変性温度の違いはプロリン残基の水酸化率とよく相関していたことから,季節(水温)による変性温度の違いはプロリン水酸化酵素活性の違いにより説明できることを示した。 鱗のコラーゲン階層構造の材料科学的手法による解析(生駒担当) 鱗コラーゲン、特にティラピアの鱗を用いてその構造の詳細を明らかとした。染色を行わずにSTEM-HAADFを用いた。これにより、染色によるリン酸カルシウムの脱落などの可能性が全くない条件での構造観察に成功した。 再線維化におけるコラーゲン線維配向構造の構築と材料物性(生駒担当) また、メソポーラスシリカとう鱗コラーゲン線維を複合化させることで骨誘導因子(BMP)の放出制御が可能な膜材料の開発に成功した。
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