2011 Fiscal Year Annual Research Report
餌料・輸送環境解析に基づくニホンウナギの回遊生態の解明と資源管理方策の提言
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21380119
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 伸吾 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (90202043)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北川 貴士 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (50431804)
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Keywords | ニホンウナギ / 産卵回遊 / 北赤道海流 / 海洋環境 / 炭素窒素安定同位体比 / 数値シミュレーション / 塩分フロント / 生息環境 |
Research Abstract |
本研究は、資源の減少が著しいニホンウナギの回遊生態を解明することを目的として、産卵域が位置する北赤道海流域での海洋観測とウナギ・レプトセファルス幼生の採集、および生息域が位置する日本を中心とする東アジア沿岸域での環境調査とシラスウナギ・ウナギ成魚の採集から実施するものである。 本年度は、利根川を中心とする日本でのシラスウナギのサンプリング調査を実施する一方、東アジアに分布するニホンウナギのシラスウナギとの違いを検討するために、中国上海・長江河口域と台湾台北・宣蘭流域において採集したシラスウナギの炭素窒素安定同位体比分析を実施した。その結果、3力国間の違いはあまり大きくはなく、北赤道海流域における摂餌生態が大きく異なるわけではないことが示唆された。これは、12月から4月にかけて河川遡上時期が異なっていても輸送経路の違いが遡上時期の違いをもたらす原因とはならない可能性があることを示している。 さらに、利根川流域で成魚を捕獲し、護岸と自然堤防別に生息密度の調査を継続して行い、分布密度、胃内容物、餌環境の分析を行った。その結果、護岸域おける成魚の生息密度は自然堤防域に比較し優位に低く、また、胃内容物中にある餌の多様性は自然堤防域で高かった。河川における成魚の分布形態には、コンクリートによる人工護岸の有無が強く関係しており、それは餌料生物の密度や多様性に起因している可能性が示唆された。 また、シラスウナギの河川遡上時期が遅れていることに対応して、産卵時期を初冬に設定した数値シミュレーションを行い、来遊量の比較検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安定同位体比を用いた摂餌生態、数値シミュレーションによる輸送経路、河川における成魚の生息環境について、当初の予定通りの成果があがっているため
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Strategy for Future Research Activity |
利根川を中心として生息環境の違いによる成魚の摂餌生態の解明を目指す一方、シラスウナギの来遊量激減に対応した数値シミュレーションも行ってその原因を検討する。また、24年度は最終年度であるため、得られた成果を学術雑誌へ投稿することによって取りまとめを図る。
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Research Products
(7 results)