2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21380140
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
岩本 純明 東京農業大学, 国際食料情報学部, 教授 (40117479)
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Keywords | 共有資源 / 慣習 / 漁業権 / 入会権 / 水利権 |
Research Abstract |
本年度は国内2箇所、海外3箇所で調査を実施した。概要は以下の通りである。 1. 国内:(1)山形市における農業水利秩序の歴史的変遷とその特質:現地の事情に詳しい農業水利研究者の案内のもと、連携研究者5名の参加も得て調査を実施した。農業用水と城下町の生活用水利用の両機能を有する水利慣行が近世期に形成され、それが近代化のもとでどのような変貌を遂げたかについて、重要な知見を得た。(2)石垣島の伝統的な漁労技術である石干見について、現地の専門家から教示を得た。 2. 国外:(1)インド南部の溜池灌漑地帯の水利秩序とその現代的課題を、この分野の専門家の案内で調査した。連携研究者5名が参加した。水利施設の管理と灌漑用水の利用ルールがどのような社会構造のもとで形成・運用されているかについて多くの知見を得た。(2)ベトナム・ハノイ周辺の村落構造と資源管理システムについて調査した。以上の他、連携研究者が韓国での火田民の森林資源利用・管理システムについて調査した。 年度末に連携研究者とともに研究会を行い論点を整理した。主な論点は、(1)共有資源管理の「最適解」の状況依存性、(2)共同体をベースにした共有資源管理の強みと弱み、(3)共有資源管理慣行のフォーマルな制度化、(4)制度化と柔軟な内部ルールの意味などであり、今後検討を深める必要がある。
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