2011 Fiscal Year Annual Research Report
高内皮細静脈特異的遺伝子改変マウスを用いたリンパ球ホーミングの分子機構の解析
Project/Area Number |
21390023
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
川島 博人 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (50260336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
村井 稔幸 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (20311756)
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Keywords | リンパ球ホーミング / ヘパラン硫酸 / ケモカイン / 高内皮細静脈 |
Research Abstract |
血流に乗って体内を循環するリンパ球は、高内皮細静脈(HEV)と呼ばれる丈の高い特殊な血管から特異的にリンパ節内に浸潤する。この浸潤過程においては、HEV上のヘパラン硫酸に提示されたケモカインによるリンパ球の活性化が起こると考えられているが十分な証明は示されていない。本研究課題では、ヘパラン硫酸をHEV特異的に欠損するコンディショナルノプクアウトマウスを作製し、HEVにおけるヘパラン硫酸の生理的な機能を解明することを目的として研究を行い、以下に示す結果を得た。 1.独自に樹立したHEV特異的にCreリコンビナーゼを発現するトランスジェニックマウス(GlcNAc6ST-2-CreTgマウス;J.Immunol.182:5461-5468,2009)をヘパラン硫酸伸長酵素EXT1のfloxマウスと掛け合わせることで組織特異的コンディショナルノックアウトマウス(cKOマウス)を樹立した。 抗ヘパラン硫酸抗体を用いた免疫染色の結果、得られたcKOマウスにおいて末梢リンパ節HEVにおけるヘパラン硫酸の発現が欠損することが確認された。. 2.抗ケモカイン抗体を用いた免疫染色の結果、cKOマウスでは末梢リンパ節HEV上におけるケモカインCCL21の局在が大きく低下することがわかった。一方、精製した末梢リンパ節HEVを用いた定量的PCR解析の結果、CCL21のmRNA発現量には変化は認められなかった。以上より、ヘパラン硫酸がHEV上におけるケモカインCCL21の提示に関与することが明らかとなった。 3.リンパ球ホーミングアッセイを行ったところ、cKOマウスでは末梢リンパ節へのホーミングが選択的に阻害されることが判明した。 以上の結果より、末梢リンパ節HEVにおいてヘパラン硫酸はケモカインSLCのリンパ球への提示を行い、リンパ球ホーミングを促進する働きを持つことが示された。
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Research Products
(10 results)