2009 Fiscal Year Annual Research Report
尿毒症物質の代謝・産生阻害を基軸とする腎障害進展阻止薬の新規創薬ストラテジー
Project/Area Number |
21390048
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 Kumamoto University, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 哲暢 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322313)
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Keywords | 腎障害 / 薬物排泄 / 薬物トランスポータ / 尿毒症物質 / インドキシル硫酸 / シスプラチン |
Research Abstract |
腎障害改善治療薬開発に繋がる新規インドキシル硫酸(IS)産生阻害物質を探索することを目的とし、ラット肝S9画分を用いたスクリーニング評価系を確立し、急性腎障害ラットにIS肝産生阻害物質を経口投与した場合の腎障害に及ぼす影響を精査した。ラット肝S9画分を用いたIS産生阻害物質スクリーニング評価系を用いて調べた結果、硫酸基転移酵素の阻害物質が強いIS産生阻害を示した。一方、Cytochrome P450 (CYP) 2A6及びCYP2E1の阻害物質ではIS産生阻害が認められなかった。Cisplatin誘発急性腎障害ラットにIS肝産生阻害作用を示す化合物Aを経口投与した結果、血清、腎臓及び肝臓中IS濃度が減少し、SCr、BUN、腎尿細管組織学的検査及び腎Kidney injury molecule (Kim)-1タンパク質発現量において光腎障害の軽減を認めた。一方、2,6-Dichloro-4- nitrophenol (DCNP)経口投与においては、血清、腎臓及び肝臓中IS濃度は減少するが、腎障害の更なる増悪を認めた。化合物A、化合物B及びDCNPの経口投与は、血清及び腎臓中Cisplatin濃度に影響を与えないことを確認した。Cisplatin誘発急性腎障害ラットにおいて、腎有機イオントランスポータOat1及びOat3のタンパク質発現量が減少し、化合物Aを経口投与することでその発現量減少が回復することを認めた。IS産生阻害薬の投与により、急性腎障害の発現・進展が抑制されることを見出し、新たな腎障害治療法の創薬ストラテジーとして有用である可能性が示唆された。
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