2011 Fiscal Year Annual Research Report
尿毒症物質の代謝・産生阻害を基軸とする腎障害進展阻止薬の新規創薬ストラテジー
Project/Area Number |
21390048
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
齋藤 秀之 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40225727)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱田 哲暢 熊本大学, 医学部附属病院, 准教授 (00322313)
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Keywords | 腎障害 / インドキシル硫酸 / 尿毒症物質 / 腎虚血 / シスプラチン / 酸化ストレス |
Research Abstract |
腎機能障害・腎不全の病態進展並びに付随する尿毒症に密接に関わる硫酸抱合型尿毒症物質インドキシル硫酸(IS)に焦点をあて、IS産生阻害物質を探索することを目的とした。ラット肝臓組織を用いたインビトロスクリーニング評価系を確立し、急性腎障害モデルラットにスクリーニングで見出されたIS肝産生阻害物質を経口投与した場合の腎障害に及ぼす影響を比較精査した。新たに確立したIS産生阻害物質スクリーニング評価系を用いて調べた結果、硫酸基転移酵素に阻害作用を持つ植物性ポリフェノール系薬物がIS産生阻害を示した。一方、Cytochrome P450 (CYP) 2A6及びCYP2E1の阻害物質ではIS産生阻害が認められなかった。Cisplatin誘発急性腎障害ラットにIS肝産生阻害化合物を経口投与した結果、血清、腎臓及び肝臓中IS濃度が減少し、SCr、BUN、腎尿細管組織学的検査及び腎Kidney injury molecule (Kim)-1タンパク質発現量において、有意な腎障害の軽減を認めた。さらに、虚血性急性腎障害モデルラットを作成し、IS産生阻害薬物の経口投与による腎機能変化を比較精査した結果、一部のポリフェノール系薬物により血清中IS蓄積が著明に低減すること、それに伴い腎障害が一部改善されることを見出した。腎組織中抗酸化ストレス因子Nrf2を調べた結果、腎障害ラットでは顕著にNrf2発現が亢進していること、IS産生阻害薬物投与によりNrf2発現の亢進が抑制されることを見出し、これら阻害薬物により腎組織中酸化ストレスが低減することが示唆された。IS産生阻害薬の投与により、急性腎障害の発現・進展が抑制されることを検証し、新たな腎障害並びに尿毒症治療法の新規創薬ストラテジーとして有用である可能性が示唆された。
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