2010 Fiscal Year Annual Research Report
視床下部AMPキナーゼによる摂食・代謝調節作用と肥満動物における異常
Project/Area Number |
21390067
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
箕越 靖彦 生理学研究所, 発達生理学研究系, 教授 (10200099)
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Keywords | 生理学 / 栄養学 / 摂食行動 / 生体分子 / 肥満 |
Research Abstract |
AMPキナーゼ(AMPK)は、AMP濃度の上昇とAMPKK (calmodulin-dependent protein kinase kinaseなど)によるリン酸化によって活性化し、グルコースや脂肪酸の利用、遺伝子発現、蛋白合成を調節することから、"metabolic sensor"の一つとして知られている。申請者は、これまでに、マウス室傍核神経細胞に活性型AMPKを発現させると、炭水化物食への嗜好性が亢進して過食となり、肥満することを見出した。また、その作用は室傍核における脂肪酸酸化が関与することを明らかにした。これと同様な変化は、マウスを絶食することによっても引き起こされた。マウスを一日絶食すると、室傍核においてAMPKが活性化するとともに脂肪酸酸化が亢進した。また炭水化物食に対する嗜好性が亢進していた。本年度は、これらの作用がKKay肥満動物において異常を来することを見出した。KKay肥満動物を絶食しても、室傍核におけるAMPK活性及び脂肪酸酸化が亢進しなかった。その結果、この肥満動物は、絶食した後の再摂食において、普通のマウスとは異なり高脂肪食を選択的に摂取した。一方、離乳して間もない肥満していないKKayマウスではこのような異常は部分的であった。このことから、肥満すると、二次的に室傍核AMPK-脂肪酸酸化調節機構に異常を来たし、その結果高脂肪食に対する嗜好性を高める可能性がある。
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Research Products
(14 results)