2009 Fiscal Year Annual Research Report
膜型マトリックスメタロプロテアーゼー1のがん悪性化形質に果たす役割の解析
Project/Area Number |
21390091
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
佐藤 博 Kanazawa University, がん研究所, 教授 (00115239)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝野 隆久 金沢大学, がん研究所, 准教授 (40322119)
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 助教 (20334774)
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Keywords | MT1-MMP / MMP-2 / 転移 / 浸潤 / 幹細胞 / シェディング / 悪性化 / 浸潤 |
Research Abstract |
膜型マトリックスメタロプロテアーゼ-1(MT1-MMP)はMMP-2の活性化因子として同定され、その後MMP-2活性化以外にも細胞外マトリックス成分であるコラーゲン、ファイブロネクチンの分解、シンデカンなどの膜タンパクのシェディング、KiSS-1などの低分子リガンドの切断など様々な機能を有し、総合的にがんの悪性化形質に重要な役割を果たしている。我々は人工的なMMP-2レセプターを開発することにより、MT1-MMPによるMMP-2活性化vs他基質切断の調節機構について新規の提案を行った(Cancer Science,2010)。我々は今回、発現クローニング法によりMT1-MMPの新規基質でありMT1-MMPの調節因子として機能未知の免疫グロブリンファミリーの膜タンパクGI24/SISP-1を同定した。GI24はMMP-2活性化を亢進することにより、扁平上皮がん細胞のコラーゲンゲル内の浸潤性の増殖を促進することを見出した。 一方、MT1-MMPのコラーゲンゲル内増殖における機能を詳細に検討し、その発現がん細胞では、コラーゲンゲル培養中でもFAKとERKの活性化が維持されており、MT1-MMPのノックダウンによりFAKとERKの活性化が抑制された。また、MT1-MMP発現細胞ではコラーゲンゲル培養においてファイブロネクチンの産生が亢進しており、MT1-MMPの阻害やファイブロネクチンのノックダウンは細胞死を誘導することを見出した。以上の結果から、MT1-MMPは3次元細胞外マトリックス中で細胞外微小環境の改編に重要な役割を果たし、FAKやERK経路を介して細胞増殖、運動、死を制御していることが明らかとなった。
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Research Products
(7 results)