2010 Fiscal Year Annual Research Report
複製フォーク停止に応答するチェックポイントキナーゼによるユビキチンシステム制御
Project/Area Number |
21390094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高田 穣 京都大学, 放射線生物研究センター, 教授 (30281728)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
冨田 純也 京都大学, 放射線生物研究センター, 研究員 (50511367)
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Keywords | ファンコニ貧血 / FANCD2 / モノユビキチン化 / FANCI / FANCL / コア複合体 |
Research Abstract |
チェックポイントキナーゼであるATMとATRは、ゲノム傷害を検知し下流のエフェクター群を活性化する最上流のキナーゼであり、FA経路の上流にあるのはおそらくATRキナーゼであると考えられている。我々は、新規に同定されたEANCI遺伝子のモノユビキチン化サイト近傍のS/TQクラスタードメインの進化上保存された6つのリン酸化サイトのリン酸化こそがコア複合体活性化の引き金を引くことを明らかにした(Nat Struct Mol Biol. 2008 Nov ; 15 (11) : 1138-46.)。 今年度、FANCIのリン酸化がいかに達成されるのか、その分子機構を明らかにするため、ATRに会合する必須因子であるATRIPのコンディショナルノックアウト細胞を作成した。この細胞はタモキシフェン添加により組換え酵素Creが活性化し、ATRとの会合配列をコードするエクソンが切り出されATRIPの発現が24~48時間後に消失するようにデザインされている。ATRIP発現を消失した細胞では、MMC刺激によるEANCD2のモノユビキチン化と、FANCIリン酸化が検出できなかった。さらに、この細胞に、RPAとTopBP1との会合ドメインをそれぞれ変異させたATRIP分子を導入し、野生型ATRIPと置き換えた細胞を作成した。これらの細胞では、ATR下流でリン酸化されるChk1キナーゼのリン酸化が完全に消失した。しかし、FANCD2モノユビキチン化は、RPAとの会合を要求したものの、TopBP 1との会合は要求しなかった。これらの結果により、FA経路活性化において、FANCIのリン酸化は、RPA結合を介してクロマチンに結合し集積したATRIP-ATRによって行われることが確定した。また、ATR活性化には、クロマチン集積に加えて、さらにTopBP1との結合による酵素活性の上昇が必要と従来考えられてきた。それはChk1においては正しいが、FANCIリン酸化においては重要ではないことが判明した。 昨年までの成果で、FANCIのリン酸化によってFANCIとFANCLがあらたに相互作用することを見いだしていたが、今年度この結果がニワトリの系においては成り立たないことが判明した。FANCIリン酸化によるE3リガーゼ活性化の分子機構の確定のため、現在さらにFANCIの会合因子の同定を進めている。
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Research Products
(9 results)