2009 Fiscal Year Annual Research Report
オステオポンチン機能制御による難治性炎症性疾患制御の分子基盤
Project/Area Number |
21390113
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上出 利光 Hokkaido University, 遺伝子病制御研究所, 教授 (00160185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 裕 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 特任准教授 (30431381)
森本 純子 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 助教 (20451396)
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Keywords | オステオポンチン / テナーシンC / matricellular protein / α9インテグリン / 難治性炎症性疾患 |
Research Abstract |
オステオポンチンやテナーシンC等のmatricellular proteinとその共通の受容体であるα9インテグリンの難治性炎症性疾患における意義について検討した。その結果、1)関節リウマチおよび多発性硬化症のモデルマウスにα9インテグリンに対する抗体を投与することにより、上記疾患の治療が可能である事を明らかにした。2)α9インテグリンに対する抗体の作用機序を詳細に検討したところ、関節滑膜細胞がα9インテグリンを発現し、autocrine and paracrineに産生されたオステオポンチンや、テナーシンCとインテグリンが結合する事により、滑膜細胞から炎症性サイトカイン、ケモカイン、蛋白分解酵素の産生をうながし、関節炎を惹起していることが明らかとなった。3)タイプIIコラーゲンに対する抗体とLPSを投与することにより惹起する関節炎(いわゆるcollagen antibody-induced arthritis ; CAIA)において、テナーシンCを欠損することにより、関節炎の発症が軽症となり、オステオポンチン同様、テナーシンCが、関節炎発症に重要な機能を果たしていることを明らかにできた。4)ヒューマノイドマウス、すなわちマウスのオステオポンチンを欠損させ、ヒトオステオポンチンを発現するマウスを作成した。これをBalb/cおよびB6に戻し交配を行っている。5)モデル動物のみならず関節リウマチ患者においても、α9インテグリンが重要な働きをしていることを明らかにした。すなわち患者滑膜細胞はα9インテグリンを発現しており、自身が産生したオステオポンチンやテナーシンCにより刺激され、各種炎症性サイトカインを産生する。これは抗ヒトα9インテグリン抗体により阻害された。
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