2009 Fiscal Year Annual Research Report
TGF-β研究のがん診断、治療、予防への橋渡し研究
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21390115
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 光保 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 教授 (20194855)
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Keywords | がん / TGF-β / TMEPAI / THG-1 / Bach1 |
Research Abstract |
がんの発生と進展におけるtransforming growth factor-β(TGF-β)関連分子の機能を明らかにし、これをがんの新たな診断・治療・予防方法の確立に橋渡しすることを目的として以下の研究を行った。TMEPAIは、TGF-βシグナルによって誘導されTGF-βシグナルを抑制するネガティブフィードバック機構を形成する分子であることを明らかにした(Watanabe et al.Mol Cell, 2010)。また、TMEPAIとそのファミリー分子であるC18orflに対するモノクローナル抗体を作製した。ELISAとウエスタンブロッティングにより特異性を確認したが、まだ、パラフィン切片で組織免疫染色に使える抗体は得られていない。THG-1については、食道癌の9割、肺扁平上皮癌の7割以上で発現が亢進しており、扁平上皮癌細胞の増殖能亢進と運動能亢進に関与しているがん遺伝子であることを明らかにした。また、EGFの下流でリン酸化され活性化されることを明らかにした。 NMuMG細胞でMafKまたはBach1をノックダウンすると、Nrf2依存的なheme oxygenase-1(HO-1)の発現のTGF-βによる抑制が解除された。従ってTGF-βは、MafKとBach1の発現誘導を介してHO-1の転写活性化を抑制することが示された。しかし、NAD(P)H quinone oxidoreductase 1の発現抑制は解除されず、TGF-βによるNrf2標的遺伝子の発現抑制機序は標的遺伝子の違いによって異なっていた。
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