2010 Fiscal Year Annual Research Report
COX-2/PGE2経路と炎症反応による胃がん発生促進機序の研究
Project/Area Number |
21390118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
大島 正伸 金沢大学, がん研究所, 教授 (40324610)
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Keywords | 胃がん / 炎症 / PGE2 / COX-2 |
Research Abstract |
慢性炎症反応は胃がん発生に重要と考えられている。本課題研究では胃粘膜腫瘍を自然発生するモデルマウスを用いて、炎症反応に重要なCOX-2/PGE2経路が発がんにおいて果たす役割を明らかにする。これまでに、Wntシグナル亢進とCOX-2/PGE2経路活性化の相互作用により胃がんを発生するGanマウスを作製しているが、今年度はCOX-2/PGE2経路特異的な分子機序を解明するために、新たにTGF-βシグナル遮断による胃発がんモデルマウスの作製を継続して行なった。すでに導入したTGF-βII型受容体遺伝子(Tgfbr2)のコンディショナルノックアウトマウスTgfbr2 cKOと、胃炎および胃がんモデルであるK19-C2mE、Ganマウスとの交配によりそれぞれの複合遺伝子型マウスを作製した。また、昨年度作製したK19-CreマウスとTgfbr2 cKOの複合マウスでは、予想外にも発生の初期段階でCreが一時的に発現し、Tgfbr2遺伝子がほぼ全身組織で欠損してしまうために胎性致死が回避できなかった。そこで、今年度はタモキシフェン投与依存的Cre活性が誘導されるCreER遺伝子をK19プロモーター制御下で発現するK19-CreERトランスジェニックマウスの作製を、マイクロインジェクションにより試みた。これまでに、K19-CreER#4系統でタモキシフェン投与によりloxPで挟み込んだ染色体DNA領域が欠損することを、ROSA26-LacZレポーターマウスとの交配実験により確認した。現在、K19-CreER#4マウスとTgfbr2 cKOとの交配実験を進めている。今後、Tgfbr2欠損、COX-2/PGE2経路の誘導、Wnt亢進を組み合わせた複合マウスモデルを交配により作製し、COX-2/PGE2依存的炎症が発がんに共通して及ぼす作用の分子機序を解析する。
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