2011 Fiscal Year Annual Research Report
マラリア原虫スポロゾイト肝細胞侵入関連分子に対する肝細胞側レセプター分子の同定
Project/Area Number |
21390124
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
鳥居 本美 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (20164072)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石野 智子 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40402680)
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Keywords | マラリア原虫 / スポロゾイト / 肝細胞侵入 / マイクロネーム |
Research Abstract |
マラリア原虫の哺乳類への侵入型であるスポロゾイトは、血流に乗って肝臓に至り、肝細胞内に寄生胞を形成して侵入し、肝細胞期の発育を開始する。スポロゾイトの先端部小器官の一つであるマイクロネームに局在する分泌性分子(P36,P36p)が、スポロゾイトの肝細胞侵入に重要な役割を果たすことが明らかにされてきた。本研究は、肝細胞侵入関連スポロゾイト側タンパク質を手がかりとして、相互作用分子を肝細胞膜表面から検索することで細胞侵入機構を解明することを目的として行なった。まずP36,P36pにGSTタグを融合させた組換えタンパク質用いて、肝細胞表面分子と結合しうるか否かについて、ELISA法、far western法により検討したが、特異的なシグナルは得られなかった。そこで、それぞれのタンパク質に対するモノクローナル抗体を作成し、スポロゾイト形成段階、唾液腺侵入前後、肝細胞侵入前後でのタンパク質の挙動を詳細に解析した。その結果、P36pはスポロゾイトが蚊の消化管壁で成熟し、体液へと放出された後に合成され先端部に蓄積を始めること、貯蔵量が増え続けた後、肝細胞侵入後にタンパク質量が減少することを見いだし、P36pが肝細胞侵入に際して分泌されて機能することが示唆された。 一方で、メロゾイトの赤血球侵入に関わることが示唆されている分泌タンパク質(RON2)を、スポロゾイト時期特異的に遺伝子発現を抑制することに成功し、RON2が唾液腺、および肝細胞侵入に重要な役割を果たすことを明らかにした。この結果は、異なるステージの原虫が異なる宿主細胞に侵入する際に、共通のメカニズムを利用している可能性することを示唆するもので、今後はこの分子の肝細胞側の相互作用分子を探索することで、寄生虫の細胞侵入の分子基盤の解明に繋げられると考えられる。
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Research Products
(1 results)